「2次方程式a x2+bx+c=0の二つの実数解をα、βとする。判別式をD=b2-4acとする。このとき、
「αとβが実数で、αとβが異符号⇔αβ<0かつD>0」は正しいか、誤りか?
今回は、高校数学の学習法について、大事なことを書きます。短い文章なので一気に読んでください。対象は高校生ですが、中学・高校受験生をお持ちの保護者の方にも一読していただきたい内容です。
数学の問題は、「同値な言い換えの連鎖」で答えが出るようになっています。
何を言っているのかわかりにくいので、これから少し詳しく説明します。
家庭教師の現場では数学(算数)の問題文を読んだ後、生徒によく「〜とはなんなの?」とか、「〜から〜というふうに本当に言えるの?」という問いかけをします。「〜とはなんなの?」というのは問題文の「問い」のことです。まずはこの「問い」がわからなければ話にならない。そして、この「とは?」という問題文の問いをしっかり自分への問いかけとして受け止め、精神の運動が活発に始まります。
「〜から〜へ」は記号を用いると、A→Bという感じですが(→は、ならば、と読みます、またA、B等は具体的な計算式だと思ってください)これがさらに、超高速にA→B→C→D・・・と運動して、・・・X→Y→Z(答え)と展開していきます。
が、実は、ここに大きな落とし穴があるのです。
小学生、中学生までは、問題文→A→B→C・・・→X→Y→Z(答え)の連鎖で、なにも問題がないのですが、高校以上の数学では、非常に問題になります。特に、小学生中学生で「出来る」お子様でも高校に進学してつまずくところが、ここらへんです。私事で恐縮ですが、小中で算数・数学大好き人間だった私も、高校数学でおおいにつまずいてしまったのがこのへんでした。
「数学が出来る」と言われている人は例外なく、このA→B→C・・・の連鎖反応の一つ一つに、実に細かい神経が注がれています。どう注がれているのかと言うと、ここが今回のテーマ「同値変形の記号⇔、に注目しよう!」につながる所です。
そこでちょっと、質問してみます。以下のXは、数学としての答えでしょうか?
問題文⇔A⇔B⇔C⇔・・・・⇔X→Y⇔X(答え)
(⇔は「同値」と読んでください、A同値B、B同値C・・・というふうに読む)
結論は、否です。
なぜかというと、XからYのところが→だからです。
ここ一つの間違えでも、一流大学と言われるところでは大いに減点されます。
数学の学習が進めば進むほど、この同値記号⇔がきわめて重要であることが認識できてきます。記述式の模擬試験などで痛い目に遭った人はたくさんいるでしょう。このように数学とは、同値な言い換えの連鎖なのです。そして、「数学が出来る」ということは、この連鎖反応が瞬時に正確に出来るようになることなのです。
いま、こうしてこの原稿を書いている私の机の上に指導用のチャート式数学(通称青チャート)がありますが、パラパラめくってみると至る所に⇔のマークが出ています。他の参考書でも頻繁に見つけることが出来るでしょう。これからこの同値記号⇔が出てきたら、ちょっと立ち止まって、じっくり考察する習慣を身につけて頂きたいと思います。
最後に、⇔(同値記号)が参考書等に出てきたときの、頭の働かせ方についてポイントを述べます。
それは、「A⇔Bは、A→BとB→Aの両方を必ずチェックせよ」です。A→Bは皆さん、普通に検討しますので、ここではB→Aという、目の動かし方がいつもと逆方向になりますが、かならずひっくり返ってチェックする習慣を身につけてください。 |