受験生のみなさん、こんにちは。秋ですね。年末まであとわずかとなりました。年を越えたらすぐ受験。厳しい現実を迎え入れる覚悟を決めるまで、スランプと戦う日々を送っている人たちも少なくはないと思います。今回は、英語の長文読解と、おまけにヒヤリングのヒントとして、英語の意味単位「sense groups」のお話です。壁のように見える英語長文をどのように切り崩すかのヒントを紹介します。
まず、今日の題材の長文<原稿1>をざっと眺めてください。出典は、ダラスで暗殺されたあの有名なJFKこと、アメリカ35代大統領のJFケネディの、1961年1月20日の就任演説(inaugural address)です。レベルは、中学生には難しいかもしれませんが、解釈が問題ではないので、勇気を出してついて来てください。
1 言葉には、意味のまとまりがある
長文が読めない生徒さんに共通する弱点は、英語を単語読みしている点です。つまり、 I am reading an interesting article now.という例文を挙げれば、読めない生徒さんは次のように英文を認識しています。
当たり前じゃないか、というあなた。ちょっと、まずいですよ。こんな風に出されたら、私たち英語の教師だって、意味を理解するのに時間がかかります。英語は単語からできているのはいうまでもないですが、言葉がグループを作って、意味の単位を成しているのです。そのことに気づくことがまず大事。この例文をグループに分けると次のようになります。
この例文は4つの意味のグループ(sense groups)に分けられたのですね。?と?を比べてみればわかるとおり、区切りの数が少ないほどスッキリして見えるでしょう?
2 英語は語順が命です
英語は意味のまとまりを表すsense groupsからできているとわかりましたが、このsense groupsにはそれぞれ役割というものがあります。?の例文を色分けしてみます。
色や形の説明を簡単にしておけば、青の□が主語、赤の○が述語動詞、青の○が目的語や補語、そして緑の○が、そのほかの修飾語です。英語には決まった語順があって、その語順を体で理解するまでが大変ですが、その壁を越えれば今までとは違った世界が開けますよ。
いくつか例文を見てみましょう。
?はジェーンという名のハリケーンがアメリカで暴れていたときのCNNの報道の見出しです。
いずれにしても、複雑な構造のときもありますが、英文はsense groupsの連続だと言うこと、わかっておいてください。
3 Sense groupsを語順のまま理解してゆこう
やっと本題のJFKの演説ですが、先ほど見てもらった原稿を色分けするとこうなります。<原稿2> 難しいな、と思う人は、日本語だけ見てもらってもいいかと思います。これをですね、英語のsense groupsの順番のまま読んでいって、日本文に直さず理解する練習をしてください。つまり、
In the long history of the world, only a few generations have been granted the role of defending freedom in its hour of maximum danger.
であれば
長い世界の歴史の中で > わずかな世代の人たちだけが > 認められてきた >
自由を守る役割を > その最高の危険の時間に
と順番に流して、振り返らずに意味を整理できるようになりましょう。ここを鍛えるのが肝要なのです。語学は練習といわれるゆえんですね。いずれにしても、一人でするには大変な練習です。今回は練習ムービーをつけます。英語版のムービーで、演説の内容が理解できたら合格です。日本語版と英語版の二つを用意しました。内容を理解できるようになるまで何度も繰り返して聴いてみてください。このトレーニングを積めば長文読解はもとより、リスニングの力もグンと伸びるはずです。それでは、がんばってください。
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4 練習終わったあとで ケネディのメッセージ
今回のテキストの中に
And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you ― ask what you can do for your country.
という有名な一節があります。東西対立の冷戦が火を噴くかどうかという危機的状況で、国民一人一人に自分で何が出来るのかを考えてほしい、といったメッセージですね。今、受験を迎える皆さんは、まさに人生の危機的状況にあると言ってもよいでしょう。避けては通れないこの危機を、人のせいにして過ごしてゆくわけにはいきません。自分の問題として自分が動く。そういうエールを含めて、ケネディには失礼ですが、次の英文を贈ります。
And so, my fellow students, ask not what your parents, teachers and friends can do for you ― ask what you can do for your own future.
5 練習問題
最後に、有名な英語の言葉を3つ紹介します。Sense groupsごとに色分けしますので、訳してみてください。□は主語、○は動詞、○は補語や目的語、○はその他の修飾語です。
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