長年英語に携わってきたが、英会話コンプレックスが抜けない。還暦を過ぎた記念に、英会話に再チャレンジして一念発起、自分の英語コミュニケーション力を見直してきた。今回チャレンジしてきたのは、デビッド・セイン先生の”A Piece of Cake”というオンライン英会話。
こちらは有料のコースで2か月で完了。とにかく目からうろこの連続で、良い体験ができたと思う。主催のDavid Thayne先生は、NHKの英語でも知られる有名人。東京オリンピックの通訳養成も手がけ、英語を話すことで、笑顔になることを目指しておられる。
伝えたいことは たくさんあるが、3つに絞ってお伝えしたいと思う。
1つ目の目からうろこ 伝える言葉の単位が違う!
はじめにぶつけられた英語の質問が「あいだらいくたごうたさーくさ。はきゃないげぜあ 。」これを聞いたとき頭の中で謎解きが始まった。その末、”I’d like to go to Asakusa. How can I get there?”だと判明、意味を解読する、なんと悠長。悠久の時が流れてゆく。ここの会話では、あいだらいくた で「〜したい」と覚えて使う。はじめは読み方「幕末リスニング」というものが導入されるけれど、ぐちゃっとまとめて聞こえてくる英語が、どういう意味か押さえて実際に使えるようにするのだ。会話英語はつながって聞こえてくる。分析している暇もない。基本なもので試してみよう、どういう意味か当ててみて。
1 あいがらごうほうなう。
2 あゆがなびあなすとろのー?
3 あいしゅだびんぜあー
文字で書けば1 I got to go home now.今家に帰らないと。2 Are you going to be an astronaut?君は宇宙飛行士になるの? 3 I should have been there.そこに行っておけばよかった。
会話とは、この音の塊に慣れて、瞬時に反応することだ。
逆を示せば、日本語で「あんたなにやってんの?」が「あなたは、何を やっているのですか」なのはお分かりだろう。前者は「話し言葉」後者は「書き言葉」。私たちはどちらを先に覚えてきたろう。
2つ目の目からうろこ
アメリカ人は文法ミスをあまり気にしない。むしろ間違ったままで使っている!
今回の学びで出会った困りものが "got" だ。ご存じget の過去/過去分詞だが、現在で使われている。「がら」=「〜しなきゃ」 だ。 I got to go home. あいがらごうほう は 私現在、家に帰らねばならない のだ。これを紐解けば、もともとhave got to のhaveが落ちたものと考えることもできるが、「がら」は現在で使うのだ。これだけならまだしも、次の質問に答えてみて。
問 初対面の人に “Do you got a sibling?”と質問した。どこか違うところを正せ。
siblingは男女分けない「きょうだい」のこと。男女区分けする言葉が駆逐してきた英語だが 、今なおLGBTQでは呼称がHe She IT They(単数)で物議が醸されている。性別関係なく「こちら、あちら、そちら」で済んでしまう日本語はなんと素晴らしいことか。
さて上の問題は「got」が「get」に、ではないのだ!!!Do you got 〜?はDo you have の意味で使われているので「正しい」表現で、間違いは「初対面の人のプライバシーに突っ込んだ質問をする態度」が間違っているのだと。生きた言葉は変化する。原形動詞gotの表れか???
さすが移民が集まってできた多様性の国。言葉の端まで気にせずに、意図を伝えること重視の文化なのだろう。日本人の「空気を読む」は期待できない。言葉にしないのは「考えていないこと=バカ」 とみなされる。Don’t be shy. どんびしゃい。心に刻もう!
3つ目の目からうろこ
生の状況で this と thatの 日米差を知る
英語の質問でthis that it の違いは?と尋ねる人は英語が苦手である。 this/thatとitは語る次元が違うのだ。詳細は割愛するが、英語では近く(自分の手の届く範囲)にあるものをthis、遠くの範囲外にあるものがthatと習う。ではこれはどうか。どこかからおいしそうなにおいがする、何を料理をしているの?と英語で聞くとき”What’s that delicious smell? What are you cooking?”と先生が言う。え?日本語なら「このおいしそうな匂いは何だ?」でしょう?日本語にも精通する先生は分析する。日本語だと「鼻元」で匂いを感知するから「この匂い」でしょうが、英語では正体不明なものは、遠くにあるように感じるので「that smell」になると。
この臨場感、英会話でネイティブと触れ合うからこそ得られる感激。短期間だったが、英語を学ぶ楽しみ改めて感じさせていただいた。セイン先生ありがとうございました。
おまけの目からうろこ オーストラリアのナイスガイ ルパ先生
この英会話とは別に,YouTubeではまっているショートストリームが「ルパ先生」なのでご紹介。「こんにちは!It’s Rupa sensei here. Your favorite English teacher!”と自分でyour favoriteと言いのけてしまう陽気なオーストラリア人。この先生が動画にしている映画のワンシーンの聞き取りは、視聴すると必ず聞き取れてしまうのだから不思議。皆さんも、一度試されたらどうだろう。
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