Covid19の世界的蔓延とその対応から、日本だけでなく、アメリカの理系大学を選択肢に入れる人が出てきている。入学時に求められる力の違いについて、日本の二次試験生物と、日本から入学するためにクリアする試験の1つACT(American College Test)のScience Testをやってみて、比べてみたい。
<日本の入試問題−生物から>
大学入試生物では、知識に答える問題以外に「考察問題」「記述問題」と呼ぶ設問形式が、大きなウエイトを占める分野になっている。
【問題1】 『ホルモンは血液中に分泌されて全身を循環しているにもかかわらず、特定の組織、細胞にのみ作用する。その理由を説明せよ。』
では生物において「その理由を説明せよ」という時、一般的にどちらが正しいだろうか。次の(1)、(2)から一つ選択しなさい。
(1)その仕組みについて、説明する。
(2)その利点について説明する。
【問題2】 では、問題1の正解にあたるものを次の(1)、(2)から一つ選択しなさい。
(1)ホルモンが標的機関(特定の作用する機関)以外に作用すると、体内の恒常性を適切に維持できなくなってしまうので、ホルモンは、標的機関以外には作用しないから。
(2)ホルモンはそれぞれの標的細胞のみ存在する受容体に特異的に結合することで作用するから。
【解説と解答】
【問題1】正解(1)
生物記述問題において、「その理由を説明せよ。」と言われたら、「その仕組みを答える。」のが一般的である。なぜなら、科学者たちは、現象の仕組みが知りたくて、長い間研究を重ねてきており、生物学的理由を述べることは「今の時点で明らかになっている仕組み」を述べることが要求されていることだと明確にしておきたい。
【問題2】正解(2)
「理由について述べる」とは「科学研究の歴史で今の時点で分かっているホルモンの作用機序や、その分子機構のしくみを述べること」である。標的細胞には特定細胞を受容する受容体が存在することがわかっている。よって次の2点が含む説明が必要となる。 1ホルモン特定は特定の標的細胞にだけ作用すること。
2ホルモンは受容体に特異的結合して作用すること。
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