『神はサイコロを振らない』はアインシュタインが量子力学(特にボーアとハイゼンベルクを中心とするコペンハーゲン学派)に対して評価した有名な言葉であって、量子力学に敵対する「証拠」の言葉としてとらえられている。しかし、現在の日本の若者のほとんどは音楽アーティストの名称であると捉えているに違いない。日本の若者に『神はサイコロを振らない』を普及させ物理への興味を持つ機会を与えたことは賞賛に値すると私は感じている。この言葉を検索することによって真の意味を知る人が出てくるはずだからである。
また、その中からアインシュタインって何?量子力学って何かしら?のような疑問を抱いて物理に興味を持ってくれる人がいるに違いないと信じている。
私は長い家庭教師生活を送って来たが指導のほとんどをその時出てきた問題に対して公式などを利用して解いていく対処療法を行ってきた。その為だろうか、物理のテストは成績が悪いが物理は大好きのような生徒に出会えたことがない。物理は嫌いで二度と触れたくないような生徒ばかりなのだ。
そこで、物理学史上最高のアインシュタイン対ボーアとハイゼンベルク率いるコペンハーゲン学派の論争を例として紹介して、読み終えた後は物理って公式などではなく人間くさいドラマで満たされていて――なんて面白いんだろう、もっと知りたい。物理が勉強したくなってきた。みたいな感想を観測できる文章を書くつもりである。ただし、この文章では方程式や註釈は無いので、自分で検索してもらいたい。
さらに、私は小学校5年生で世界の科学者が紹介されている本を読んだときからずっとアインシュタインが大好きで、35年前にソルベー会議を題材とする論文を書いた時にも「アインシュタインの質問の意図をボーアはつかんでいない」のような結論を出すにいたり、当時の千葉大の哲学科―倫理の加藤尚武先生、科学史の坂本賢三先生、A Iの土屋俊先生たちからの微妙な反応があったのを忘れられない。この時実は論理の中村秀吉先生はガンの為ちょうど入院しておられていらっしゃらず、加藤先生から中村先生はボーアの相補性の考えを研究なさっていたはず残念だったねーと聞かされ本当に残念で仕方なかった。ということも付け加えておく。わたしは相対論から生み出されたブラックホールを自分で存在しないと証明するアインシュタインが本当に好きである。この文章を書くにあたっても書きたいことがあまりにも多く日本語もつたなく読みづらいことを考慮して以下の文章は読んでもらいたい。
1、相対論と量子論が生み出した機械や理論
相対論と量子論は現在なくてはならない機械を生み出したり理論を証明している。理論など知らずに若者はどんどん有意義に機械達を生かし生活を楽しんでいる。
相対論から生み出されたのは、GPS、アインシュタインの光電効果まで考えると太陽電池、デジタルカメラ、DVDプレイヤー、水準器、レイザーポインターなどや本人は嫌かもしれないが原爆などが挙げられる。
量子論からは、ボーアの原子模型でも知られるように化学に関係する理論に使われている。例えば、電磁気力、ベータ崩壊、半導体、周期表、固体中の電子、化学結合などさらに量子コンピュータがある。
2、アインシュタインは量子力学と敵対していたか。
アインシュタインは量子力学と敵対しているといわれているが「アインシュタイン回顧録 」(アインシュタイン本人著)を見る限り本人はシュレディンガー、ハイゼンベルク、ディラック、ボルンが完成した統計的な量子論であり、観測結果を完璧に説明できる唯一の理論である。ただし、ハイゼンベルクの不確定性原理を基にしているなら、観測しているものは例えば 波なのか粒子なのか不明になる。この欠点を補うように相対論と量子論を統一した統一場理論が必要である。のように記述している。つまり、量子論を完全否定はしていない、いやそれどころかいいねみたいな感想を述べている。量子力学を立ち上げようと努力していたことは明らかになっている。光電効果はまさに量子論なのだ。しかし、ハイゼンベルクの不確定性原理つまり例えば光がやってきてスリットに達してその瞬間にならないと波になるか粒子として振る舞うのかわからないというのが気にくわないのだ。だから統計的な量子力学のような記述が多くなっている。アインシュタインのノーベル物理学賞のテーマはブラウン運動である。ブラウン運動の分子の衝突を定式化している。ランダムに見える運動をである。ですから、量子力学の定式化が一歩遅れているように感じることは当然だろう。――あまりに有名な話だけどノーベル賞の賞金は離婚の賠償金となっている、さすがアインシュタイン。ブラウン運動の方程式は現在株価予測に使用されている。予測がつかないのを予測可能にしてしまう!う〜ん!視線の先には何が見えているのだろう!
もうひとつ「シュレディンガーの猫」で有名なシュレディンガーは波動方程式を定式化し波動力学を構築したが、ハイゼンベルクの不確定性原理を一番否定している。波ならば波動方程式が成り立っているので、さらに延長して当てはめられば不確定性は発生しないはずなのだ。波動方程式が当てはめられるなら波が確定できるのである。
もちろん、シュレディンガーの物語はここでは触れない。
そして、アインシュタインは最後に相対論と量子論を統合した統一場理論を構築し現在使用されている物理用語を用い定式化を目指していたに違いない。
3、第5回ソルベー会議と第6回ソルベー会議
有名な光子箱の思考実験が行われボーアが勝利し不確定性原理をはじめとするコペンハーゲン学派論を確立したという伝説的な会議なのだが!
実は本会議での光子箱の思考実験はされていないアインシュタインが朝食にアイデアをボーアに提出してその反論を夕食に返したと言われている。
わたしは、アインシュタインはドイツ人でボーアはデンマーク人であり使われている母国語が違うこと、ドイツ語を仲立ちにしていただろうが細かなニュアンスは伝わっていないと考えている。アインシュタインは、光子がシャッターから飛び出した後その箱の質量を測る、この計測では飛び出した光子のエネルギーに影響を与えてないと考えられるので、光子のエネルギーは始めから決まっていたというアイデアをボーアに示したらしいが、ボーアは一般相対性理論にしたがい重力によって時間の進み方が違うことに着目し、箱の位置によりシャッターの開いている時刻、時刻で質量が変化する。しかし、測定結果を比較する為に箱の位置を確定すると箱の上下の速さが決定しなくなり質量の測定に影響が出てくる。すなわち、不確定性原理が成り立つことになる。というアイデアで返し指摘を否定した。
先程書いたようにアインシュタインのメモ、特に光子箱が描いてある絵などを提示されて、正確に質問の意図が伝わっていたのか、もちろん二人とも天才であるので、そのときは伝わっていると思っていただろう。しかし、ボーアはアインシュタインからの質問を予想してその回答を考えてきているに違いない。その状況の中この図に対しての対処はあったのではないか、また、ボーアにしてみるとアインシュタインの質問を跳ね返したとなればコペンハーゲン説が主流になるはずなので、傾向と対策は怠っているはずがないのだ。ともかくボーアが勝利した!ということになっている。
ここでの問題点は、ソルベー会議の真の議題になっていないこと、何が論点なのかがはっきりしないのに議論が成立してしまったことだろう。アインシュタインにしてみれば何がなんだかわからないうちに敗北になってしまった。もし、ここで意思疎通ができている議論がなされてソルベー会議の議題であったなら、アインシュタインの対応も変わり「神はサイコロを振らない」も生まれなかったかもしれない。ただ、コペンハーゲン解釈、統計的な解釈とは相容れないと思うので、やはり「神はサイコロ遊びをしない」は存在するのであろう。
4、わたしが考えること
議論のなされかたはできる限り同様な認識・テーマを共有して臨むことが必要だ。ソルベー会議に観る、アインシュタインの議論の仕方であるが明らかにアインシュタインはボーアもアインシュタインと同様な実在論・知識があるとして議論をしている。わたしは語学の立場からしても誤解が生じてしまったとしたが、実際は実在・非実在の定義も違うだろう。実存主義で言葉が発生するとその言葉は一人で歩き出し発生させた本人が意図するものではなくなってしまうというテーマがあったと思うが、できる限りの言葉の意味の統一も必要だ。光子の実在を考えてみると、アインシュタインは粒子性と波動性が分かれる前から実在としている。しかし、コペンハーゲン解釈では、観測されたところから粒子性と波動性の実在が始まっている。
実在の深さが違うのだ。
実際のところ、コペンハーゲン解釈と違う解釈が存在して、アインシュタインと同じく深い実在を考えているのが多世界解釈であるが、いろいろな世界が平行して存在して観測された世界はその一つとして考えるという解釈である。
ボーアやハイゼンベルクはコペンハーゲン解釈が最終解釈としているがやはり何か釈然としない物理学者は多いのだろう。
この前、NHKで数学のabc理論について放送していたが、abc理論を解いた望月教授の論文は現在使われている言語では理解がバラバラになるので望月教授がもっと使っている言語と論文を説明すべきだろうと言われていた。
言語は個人としての仕様状態が違う。自分の思うような意味を他人が使っているとは限らない。まして、母国語ではない場合はさらに差が大きい。必ず正しい情報を与えないと正しい議論が行われない。
何か釈然としない終わり方ですが終わります。
自分の論理に誇りを持って思考をたたかわせる、そのような知的生活を送って欲しいものです。物理は数学に一番近い学問であり、いまのIT生活に直結する。ですから、物理は楽しいですから皆さん是非勉強してみてください。
あーそれから、アインシュタインは舌を出した白髪のおじさんなんだけどすごいひとなんだよね!
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