英語と日本語は、見事なまでに「逆」の構造をしています。昔の英語の授業では、その構造に注目して英文解釈が授業されました。例えば、
私は、昨日 学校に行く途中で 一匹の犬を 見た。
この日本語を英語に組み替えると、
I saw a dog on my way to school yesterday.
となります。
わかりやすく番号を振ってみます。日本語文は、
①私は ②昨日 ③学校に行く途中で ④一匹の犬を ⑤見た。
番号を対応させて、英文にも番号を振ってみると、
① I ⑤ saw ④ a dog ③ on my way to school ② yesterday.
上のようになります。
番号だけ抜いて並べてみると、
日本語 ①→②→③→④→⑤ のとき
英語 ①←⑤←④←③←② です。
見事に真っ逆さまです。また、逆に、英語から日本語へ直す時を考えてみても、
英文 ①Mr. Trump ②saw ③Mr. Kim ④in Singapore ⑤on Tuesday.
日本文 ①トランプ氏は ⑤火曜日に ④シンガポールで ③キム氏に ②会った。
となります。
英語が ①→②→③→④→⑤ なら
日本語は ①←⑤←④←③←② となっています。
お気づきとは思いますが、英語の語順は中国語の語順に似ています。日本人はその中国語を「漢文」として自国文化の中に消化してきました。
それならばと、先ほどの英文を漢文式に返り点をつけて表してみると、
特朗普先生ハ 火曜日ニ 新加坡ニテ 金先生ニ 会ヒタリ・
これは冗談です。混乱するので話を戻すと、
日本語→英語、英語→日本語 ともに
①→②→③→④→⑤ を ①←⑤←④←③←② で組み替えることができるわけです。
ただし 一つだけ注意ですが、主語に当たる言葉の周辺に逆流が起こりやすいので、主語と述語をつかんだ上で語順の組み換えは行います。
どういうことかというと、
①The cat ②on the table ③is eating ④the dishes ⑤for the guest. では
述語が is eatingですから、その前の部分は主語となって、②→①という流れが生まれます。この日本文を訳すときは、②→①→⑤→④→③ となって、「テーブルの上の猫は、お客用の料理を食べている」となります。
練習してみましょう。番号と意味はこちらで振りました。訳すときの順番を番号でこたえてみましょう。ヒント:述語はculminated です。
①Nearly five hours ②of unprecedented and surreal talks ③between US President
先例のない 非現実的な
Donald Trump and North Korea's Kim Jong Un ④culminated ⑤on Tuesday ⑥with
最高潮に達した
fulsome declarations ⑦of a new friendship ⑧but just vague pledges ⑨of nuclear
度が過ぎた宣言
disarmament. (CNN)
武装解除
注意する点は、⑥のwith以下が⑧のbut just〜にもかかっているところです。ここは並立ですから、with A but Bという流れを踏まえてください。
さて答えは、
③→②→①→⑦→⑥→⑨→⑧→④ となります。(③→①→②〜も可)
この順に訳すと
③アメリカのドナルドトランプ大統領と北朝鮮の金正恩の間の②先例のない非現実的な対話の①ほぼ5時間は⑦新しい友好関係の⑥度の過ぎた宣言と⑨核兵器解除のただあいまいな誓いで④最高潮に達した。
さすがCNN。トランプ大統領には辛辣な記事の書きようです。ではまた。
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