「おはよう。」や「はじめまして。」は、わたしたちの日常生活のなかで普通に使っている言葉ですね。でも、「おはよう」って何がはやいのだろう?とか、「はじめまして」って何をはじめたのだろう、と思ったことはありませんか。成り立ちについては言語学的な解釈や歴史的な経緯はあるんだろうけど、慣用的に朝の挨拶や初対面の相手に対して使っている言葉だから、「そういうもんさ。」でいいとは思うんだけれどね。こういった慣用表現は日本語に限らず英語にも当然あるわけです。字づらどおりに解釈するとおかしな訳になってしまう表現や、意味の通らない表現をごく普通の日常会話の中からいくつかピックアップしてみよう。
次の文は電話でのやりとり。英文のあとに和訳例をつけています。
<on the phone>
Ken :Hello. This is Ken. May I speak to Mary?
Mary:Speaking.
Ken :Hi, Mary. Won’t you go to TDL tomorrow? With Tom.
Mary:Why not?
Ken :Ask someone to go there with us. How about Jane?
Mary:Give me a break! We have just quarreled. I hate her.
Ken :Calm down. Anyone else? It’s up to you.
Mary:Let me see. How about Lucy?
Ken :I have never talked to her. She looks snobbish.
Mary:No way! She is nice. Take it easy.
Ken :O.K. At 9 o’clock tomorrow morning at the station.
Mary:See you.
<電話口で>
ケン :もしもし。ケンです。メアリーお願いします。
メアリー:わたしよ。
ケン :やあメアリー。あしたTDLに行かない?トムも一緒なんだけど。
メアリー:いいわよ。
ケン :友達連れておいでよ。ジェインは?
メアリー:勘弁して。たった今喧嘩したばかりなの。だいっきらい。
ケン :落ち着いて。ほかにだれかいる?君次第だよ。
メアリー:えーっと。ルーシーはどう?
ケン :話したことないなあ。お高くとまってる感じ。
メアリー:まさか。いい子よ。気を使わないで。
ケン :O.K。じゃ、あした朝9時に駅で。
メアリー:じゃあね。
本文中のアンダーラインを引いた表現の意味はすぐわかったかな?同じ英文であっても使われる状況が違えば意味も異なってくるんだけど、今回の場合はおよそ次のような解釈ができると思う。
Speaking. |
I am speaking.ということなんだろうね。
同じ意味でThis is he.とかThis is she.とかいうこともあるんだよ。 |
Why not? |
相手の疑問や提案に対して肯定的な反応をするときに使う表現だよ。「もちろんいいよ。なぜnotなの,notのわけないじゃない」といった感じかな。もちろん、Of course. でもいいよね。
Why not ? は、使われる場面によっていろいろなニュアンスを持つから辞書なんかで調べてみるとおもしろいよ。 |
Give me a break! |
不愉快な感情を表す時の表現。「いいかげんにして」、「勘弁してよ。」とか「冗 談じゃないわ、冗談も休み休み言って」ということであれば、英語と日本語に共通するとこがあるようでちょっとほっと するね。breakには休みという意味があるから。 |
It’s up to you. |
「誰か連れておいでよ。」に対して、「君次第だよ。」というんだから、「君の連れてきたい子を連れておいでよ。」という意味になるよね。 |
Let me see. |
seeには考えるという意味があるんだよ。「わたしに考えさせて」というところから「えーっとね。」って意味で使われるんだね。 |
No way! |
可能性を否定したり、Noの強調表現だったりするので日本語訳としてはいろいろ考えられるね。「そんなばかな。」、「うそだろ。」,「ありえない。」,「絶対いや。」など。なにしろ、way(道、方法)がないんだから。 |
Take it easy. |
ただ単に別れの挨拶に使うこともあるけど、ここでは「気楽にね。」とか「緊張しないで。」くらいの意味かな。 |
会話文には、短くてしかも気のきいた表現がいっぱいあるよね。字づらどおりには訳せないだけにイディオムを覚えるようにして暗記してしまうのもいいかもしれないね。
SEE YOU NEXT. |