今、自宅にインターネットが繋がっていない家庭がどれくらいあるでしょうか?スマートフォン等の携帯端末も含めれば、インターネットにアクセスできない人のほうがもはや少数派ではないでしょうか。こうした時代にあって、教育のあり方も大きく変わろうとしています。今、学習塾業界では、生身の先生の「生」授業に変わって、あるいはそれと並行して、「映像授業」を導入する塾が急速に増えています。これは、大手予備校の授業を録画したものを、インターネットで視聴するのが一般的で、生徒自身のペースで受講できるメリットが大きいと言えます。わざわざ塾に通わなくても、自宅で受講できるシステムもあり、自己管理できる生徒にとっては、時間効率が最大になります。
塾の「映像授業」であれば、受講料は通常の塾の費用と同様に発生しますが、WEB上には無料のコンテンツも多数存在していますので、これらを有効に使えば経済効率も最大化できます。
無料の映像授業で、今最も注目を集めているのは「Khan academy (カーン・アカデミー)」http://www.khanacademy.org/ でしょう。これはMITマサチューセッツ工科大学でコンピュータ-サイエンスと電子工学2つの修士、ハーバード大学で経営学修士MBAを取得している、バングラディシュ系のアメリカ人、サルマン・カーン氏が主催するオンライン教育ビデオシステムです。
ヘッジファンドのアナリストだった彼が、遠方に住む従兄弟のためにWEBカメラを利用して数学の家庭教師を引受けました。その時、復習や何かの足しになればと思い講義をインターネット上の動画サイトYouTubeにアップしたことが発端で、今や、初歩的な算数から、代数学、科学、物理学、上級数学、統計学に至るまでの講義を体系的に構築し、2000本以上のビデオを世界中のだれでも無料で見られるようにしました。こうして誕生したカーンアカデミーです。
授業は当然、すべて英語で行われますから、同時に英語の勉強になりますが、英語力が足りない人は、「ふくろう博士の家庭教師」と一緒に学習すれば一石二鳥以上の効果が出るでしょう。
カーンアカデミーを模倣した日本語のサイトには「eboard(イーボード)」があります。
その他、単発ものでは、有名予備校講師も動画を無料配信しているので、自分で必要なものをググって探してみると良いでしょう。
英語の勉強も兼ねる場合には、やはり海外ものがおすすめです。
中でも、NHKの番組「スーパープレゼンテーション」で一躍有名になりました、「TED」は内容も含めて大変勉強になります。私は大学受験生には必ず定期的に視聴させ、授業でもよく利用していますが、最新の話題を取り扱うことの多い最近の大学入試では的中も珍しくありません。
このTEDの学習サイトとして「TED Ed」というものもあります。
映像授業を利用することで、インドのスラム街の子供達ですら自ら学ぶようになった事例が、TEDで紹介されていますので、是非一度視聴してみてください。スガタ・ミトラ教授による「自己学習にまつわる新しい試み」です。
http://www.ted.com/talks/lang/ja/
sugata_mitra_the_child_driven_education.html
誰かが教える「教育」そのものがなくなることはないでしょうが、自ら学ぶ「学習」の比重は、インターネットの普及によって、今後益々大きくなるでしょう。みなさんも上手にインターネットを活用して、楽しく「楽習」してください。 |