この原稿を書いているいまは猛暑です。暑い。みなさん元気に過ごされていますか?暑い時期に送る暑中・残暑見舞い。最近は、挨拶状自体も省略?来た書状も活字印刷だったりする中で、いまだに毛筆で、達筆の読めない挨拶状をいただくことがあります。読めませんが、迫力があり、伝わるものがしっかりとあります。今回は、そういうメッセージを受け取って英語を書こうというのがテーマです。
英文の基本は確実に。
英作文の楽しさは、基本、つまり中学文法程度はさらりとこなせる力があってこそ味わえます。私にとって、生徒さんとの英作文のやり取りほど楽しいものはないのですが、どうしても、英語をバカにしているとしか思えない「やっつけ仕事」の生徒さんがいまだに多い。嘆かわしい限りです。英作文では「魂」込めて、自分のベストで教師に挑んできてほしいものですが。
英語の“I love you.” をどう訳す?…日本語はとっても不思議
この表現を、夏目漱石先生は「今夜は月がきれいだなぁ。」と訳し、二葉亭四迷先生は「私、死んでもいいわ」と訳したといいます。日本語には様々なメッセ―ジが込められています。直接表現しないから面倒くさいのですが、そこがまた「奥ゆかしい」。「皆までいうてはならぬ」風情なのです。これほどに複雑怪奇な日本語を、皆さんは安易に英語化していたりしませんか?
「こんなの朝飯前だ」…直訳でよいの?
実際に英語にしてもらった時にある生徒さんは遠くを見つめるまなざしで、
* This is before breakfast.
と答えました。確かに「朝飯前」なんですが、朝飯前=とても簡単な、という解釈はできなかったのでしょうか。Before breakfastと使っておきながら、その意味を確認もせず、採点者側に「はいどうぞ」と責任をゆだねる「やっつけ仕事。」これでは進歩はないです。この表現はいったい何を伝えようとしているのか、それを読み取ることは常に大切です。自己責任の負える作業を目指したい。
機転を利かす…訳せない時もある
ある通訳さんが、講演の通訳をやっていた時のことです。講演者が、かなりウィットを効かせたジョークを話したんだそうです。英語のジョークはわかりにくい。下手に訳しても解説的になって笑いを取ることは難しい。かといって、講演者が知恵を絞って考え抜いた末に披露したジョークです。受けなければ心象も悪くするでしょう。通訳さんは困りました、が、ある一言で会場は笑いの渦に。講演者も至極ご満悦で講演会は成功を収めたといいます。その一言というのが・・・
「みなさん、講演者が今、ジョークを言いましたので、笑ってください。」
さすがに、入試でここまで求めることはないのですが、本筋を外さないということのたとえ話です。客が笑って万事丸く収まりました。素晴らしい。
英作文は挑戦
英作文は創作活動です。自分の持っている表現力を総動員して、日本語が示すメッセージを英語にする。特に学生の時には必ず教師がいます。指導者がいるうちにどんどん自分の魂の表現をぶつけてみたらいかがでしょうか。英語がきっと楽しくなりますよ。 |