〜英語の本を読んだことがない人たちへ〜
みなさんは教科書以外に、英語で書かれた本をまるごと1冊、読んだことがありますか。
今日は、Graded Readers を読んで、英語の成績をアップさせた生徒のお話をしましょう。
Graded Readers というのは、Oxford 社やPenguinから出版されている難易度のランクがわかれている英語の本のシリーズです。下表を見てください。たとえば、Easystarts レベルなら、Headwords(知っている英単語)が200語くらいで、英検4級の能力があれば読めるということです。ページ数も15ページ前後が主流ですから、たいへん薄くて手軽です。
表紙の写真を見れば「あ、これと似たような本が夏休みや冬休みに学校から渡されて、宿題に出されたことがある!」と思う人も多いことでしょう。(それも、たいていは休み明けにテストがありますよね。)しかし、学校の課題としてではなく、自主的にこのような読み物に挑戦してみたことがある人はどれくらいいるでしょうか。おそらく、塾や学校から渡される教材だけで日ごろの勉強は手いっぱいで、自分で英語の本を買ったことのない人がほとんどでしょう。けれど、このGraded Readersは洋書を読むための入門になるだけでなく、英語の成績アップにもとても効果的です。わたしが今日、このGraded Readersを薦めようと考えたのも、実際に英語の成績がアップした生徒がいるからです。
この生徒をここではK君と呼ぶことにしましょう。
彼は中学二年生でしたが、英語の成績は定期テストで平均点に10点ほど足りない状態が続いていました。そんな彼がGraded Readersを購入したのは、新学年がはじまった4月の終わりのことでした。きっかけは、学校の英語の先生から、「英語の本を1冊読むごとに感想を三行書いて提出したら、成績に加算するぞ。」と言われたことでした。K君はわざわざ遠方の大きな書店に出かけ、簡単に読めそうなものを数冊、購入しました。
さて、その後、K君は購入したGraded Readersを読んだでしょうか。残念ながら、夏休みの直前になっても、彼は表紙にさわりもしませんでした。GWを過ぎれば、学校生活も忙しくなります。授業に宿題、修学旅行に部活、そして塾!しなくても怒られることのない勉強などやっている暇はありません。
ところが、1学期の終わり、英語の先生から「どの生徒が自主的に何冊の英語の本を読んだか」を表にしたものが配られました。見ると、最も多く読んだ人は50冊で、次点として10冊を超えている人が2人いました。さらに、1冊か2冊を読んだ生徒が10数人続きます。しかし、いちばん多かったのは0冊という人たちでした。つまり、100人以上の生徒はまったく読んでいなかったのです。
ここで、K君は考えなおしました。こんなに0冊の人が多いなら、これから1冊でも読んで感想を提出すれば、英語の先生にアピールすることができるかもしれないと。(1学期の定期テストの点が悪かったので、彼はそれを挽回したかったのです。)そういうわけで、K君は夏休みの間に2冊、Graded Readersを読みました。やってみると、1冊を読むのに3時間もかからないことがわかりました。秋の終わりにも、後期の成績に加算してもらいたい一心でもう1冊を読みました。
冬休み前に配られた「読んだ冊数と人数」の表を見ると、トップを走っている生徒は100冊を超え、50冊に届きそうな者も数人いました。しかし、それ以下の人数は伸びていませんでした。1冊2冊で止まってしまった生徒が多いらしく、3冊の生徒でも目立つほどなのです。
これを知ったK君は最後のがんばりを見せます。冬休みの間にさらに2冊、Graded Readersを読んだのです。どちらも読むのに2時間しかかかりませんでした。でも、冬休みの宿題やお正月の家族旅行の間に、これをやるのはとても面倒なことでした。
さあ、これでK君の年間の英語の読書は5冊となりました。学年トップの冊数の生徒はといえば、150冊に近づき、2位や3位の生徒は50冊を超えていました。しかし、そんな超人たちは別格として、5冊以上を読んだ生徒というのも、学年の中には20人足らずしかいませんでした。
つまり…、いつの間にかK君は英語の年間読書量の学年トップ20に入っていたのです。その上、学年末テストで、K君は英語で初めて平均点を上回ることができました。英語のテストが返されたとき、K君は自分の目を疑ったそうです。というのは、学年末テストでは、他の教科の勉強に時間をとられてしまい、英語の勉強が思うようにできなかったからです。しかし、得点アップの秘密は単純でした。彼の学校ではいつも、初めて見る長文が応用問題として出題されるのですが、今回のテストでは、彼はそこで8割も得点していたのです。今までは3割しか取れていなかったところですから、ここだけで10点以上も伸びたことになります。
もちろん、K君のテストの点がアップしたのはGraded Readersを読んだおかげばかりではないかもしれません。しかし、部活や塾が忙しい中で、強制されていない課題に取り組もうとした心がけは大事ですし、やはりGraded Readersの多読も、K君がmake a differenceできた一因ではないでしょうか。
中学生の皆さんの中には、英字新聞が読めるようになりたい、英語の雑誌が読めるようになりたいと思っている人たちが大勢いると思います。
その手始めとして、Graded Readersを読んでみることをお勧めします。「学校から課題として渡されたから仕方なく読む」というのではなく、自分で選んで読んでみると、なお一層、効果的だと思いますよ。(ネットショップを利用すれば、日本のどこからでも入手可能です。)
そして、手前味噌になりますが、英語の読書をサポートしてくれる家庭教師がそばにいれば申し分ないでしょう。
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