お久しぶり!みんな、元気かな?受験生諸君は、暑い夏の成果はどうでした?もうあまり時間はありません。そろそろスパートをかけようね。
英語は難しいですね。英作文や英会話で、こんなときにどの単語を使うんだろう?そんな悩みを持つことは多いと思います。例えば、run に「経営する」という意味があるのを知って驚いたことはありませんか?「走る」と「経営する」では、全然関係ないように思えますよね。でも、ネイティブスピーカーの人にとっては、run が「走る」という意味を持ったり、「経営する」という意味を持ったりするのは、そんなに不思議ではないみたいです。
それは、ネイティブスピーカーの人は、それぞれの単語の意味をイメージでしっかり捉えているからなんですね。(まあ、小さいときからずっと使っている言葉なんだから、当たり前なんだけれども。)だから、僕らも、できるだけ、その単語をネイティブスピーカーがどんなイメージでつかんでいるか学んでおくと、英語の理解がまた一歩進むと思いますよ。
例えば、先ほどのrun は、「ある方向に連続して(すばやく滑らかに)動く」というイメージを持っているのです。これが、「走る」という意味になるのはすぐに分かりますよね。そのイメージが発展し、「(機械、システムなどを)滑らかに動かす」というイメージになり、「(会社などを)営む、経営する」という意味を持つことになるのです。run の最初の中心的なイメージ(コアイメージ)がつかめれば、「経営する」という意味が出てくるのも納得がいきますよね。
では、そのようなコアイメージは、どうやって学べばいいでしょう。ひとつひとつネイティブスピーカーの人に確認するしかないんじゃないかって心配している人、安心してください。最近、多くの先生方が、このような考え方に関心を持っていらっしゃいます。どんなところで勉強できるか、いくつかを紹介しましょう。
まず、大西泰斗先生、ポール・マクベイ先生共著 「ハートで感じる英文法」(NHK出版)という本があります。これは、2005年に、NHK教育テレビで、「3ヶ月トピック英会話 ハートで感じる英文法」という番組がありましたが、その番組がベースとなっています。前置詞のtoも、不定詞のtoもネイティブスピーカーにとってはまったく同じ感覚なんだと知って、目からうろこが落ちた思いがしたものです。
また、同じくNHK教育テレビで現在(2006年9月)放送中なのが、田中茂範先生を初めとする方々の「新感覚☆キーワードで英会話」です。基本単語がどんなイメージを持っているのか、詳しく解説してくれるので楽しいですよ。テキストを読むだけでも十分勉強になります。ホームページもありますので、是非ご覧ください。
最後に、単語のコアイメージを調べるのに最適なのが、田中茂範先生編集の「Eゲイト英和辞典」です。基本語や多義語には、語の中核的な意味=コアと、語のイメージを表すイラストが掲載されているので、単語の理解を進めるのにお勧めです。
さて、of の用法についてですが、さきほど紹介した「Eゲイト英和辞典」によると、この of のコアは「(Aが)Bから出ると同時にBに帰属して」ということであり、「帰属性と出所性の相互関係を同時に示すところにofの特徴があり、そのどちらに強調点がおかれるかによって多様な用法が生まれる。またAとBの意味関係をも示す。」ということになります。したがって、of には大変バラエティに富んだ用法があるのです。ここでは、そのうちのいくつかを訳との関連で考えていきましょう。
of は通常「の」と訳しておけばうまくいきます。例えば
He is a student of Tokyo University.
では、「東京大学の学生」と訳せばよいわけです。
しかし、
She is afraid of his dog.
という文では、ofを「の」と訳すわけにいきません。何で、こんなところにofが使われているのでしょう?これも、上記のofのコアイメージをつかんでいれば、理解できると思います。afraidという感情が、his dogから生じており、また帰属しているのですね。
また、「の」と訳しても問題がない場合でも、その意味関係を良く考えれば、もっと分かりやすい訳を考えることもできます。A of B のAとBの間に密接な意味関係がある場合です。ここでは具体的に、ofが主格関係を表したり、目的格関係を表したりする場合を取り上げてみましょう。(以下、主語とか、目的語という言葉が出てきますが、ここでは、文法上の問題ではなく、あくまでも、その文の中の、意味上の働きを表しているだけです。ご注意ください。)
<主格関係を表すof>
A of B で、意味上、BがAの主語の働きをする場合です。
the rise of the sun
は「太陽の上昇」ですが、the sunが the riseの主語と考えられますので、「太陽が昇ること」の意になります。
the creation of the human mind
は「人間精神の創造物」ですが、同じようにthe human mind がthe creation の主語ですので「人間の精神が生み出したもの」と訳したほうがよく分かります。
<目的格関係を表すof>
A of B で、BがAの目的語の働きをする場合です。
the love of our country
は「私たちの国の愛」ですが、ちょっと分かりにくいですね。our countryがthe loveの目的語になっている関係をつかめれば、「私たちの国への愛」とか「私たちの国を愛すること」と訳せると思いますし、その方が分かりやすくなります。(つまり「愛国心」という意味になるわけです。)
War is destruction of civilization.
という文では、「戦争は文明の破壊です。」と訳してもかまいませんが、なんか、ちょっとかっこ悪いですね。destruction が civilizationを目的語としていることを見抜きましょう。「戦争とは文明を破壊することである。」と訳したほうが、格調高くなりますね。
今回のお話はここまでです。ofは多様な用法があります(他にも同格の用法とか・・・)ので、解釈するとき悩む場面も多々あると思います。今回はわずかのことしか説明できませんでしたが、コアのイメージは前述したように、2つのものが密接な関係性(特に出所性と帰属性)を持っていることにあります。それぞれの文で、どのような関係性があるのかを見抜き、適切な解釈をしていけるように鍛錬を積んでいってください。がんばってくださいね。
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