今年からセンター試験にリスニングが導入されるなど、聞いてわかる英語が重要視されてきています。しかし、私たち日本人の言語環境は相変わらず日本語一色で、言語的鎖国状態は未だに続いています。そんな環境でいかにして英語リスニング力を鍛えるか、そんなヒントのひとつを紹介できたらと思います。
次の英文と、その訳を見て、訳の空欄に、適切な日本語を入れてみてください。
【 問 題 】
"Miranda Admonition" :
1 |
You have the right to remain silent. |
2 |
Anything you say can be used against you in court. |
3 |
You have the right to a lawyer and to have the lawyer present both before and during any questioning. |
4 |
If you cannot afford to hire a lawyer, one will be provided free of charge, if you wish one. |
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Do you understand these rights? |
【 訳 】
「ミランダの警告」
1 |
あなたには a ____ をする権利がある。 |
2 |
あなたが述べることは、法廷で、あなたに b ____ に使われうる。 |
3 |
あなたは c _____ をやとい、いかなる尋問の前と最中にでもその弁護士を立ち会わせる権利がある。 |
4 |
もし弁護士をやとう d ____ がない場合、あなたが望めば、 e ___ で一人の弁護士を与えられるだろう。 |
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あなたはこれらの f _____ を理解しましたか。 |
【 訳の正解 】
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1 |
あなたには a 黙秘 をする権利がある。 |
2 |
あなたが述べることは、法廷で、あなたに b 不利 に使われうる。 |
3 |
あなたは c 弁護士 をやとい、いかなる尋問の前と最中にでもその弁護士を立ち会わせる権利がある。 |
4 |
もし弁護士をやとう d 余裕 がない場合、あなたが望めば、 e 無料 で一人の弁護士を与えられるだろう。 |
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あなたはこれらの f 権利 を理解しましたか。 |
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【 解 説 】
これはおなじみ、アメリカでお巡りさんが犯人逮捕の時に言う台詞で、「ミランダの警告」といわれるものです。アメリカのお巡りさんは、この文句の書かれたカードを持ち歩いています。(右図)
a は remain silent の部分で、「黙ったままでいる」ということで、それを 「_____をする」 という形に収めるなら、「黙秘権」の「黙秘」ですよね。刑事物ですし。
b は against you の部分で、「あなたに反して」ということ。 「___に使われる」 という形だから、「不利に」と入れました。
c は the right to a lawyer のところで、「雇う」とは書かれてないのですが流れから 「___を雇う権利」 と出来ますね。 lawyer は法律家ですが、この場合は「弁護士」です。
d は cannot afford to hire のところの afford です。「金銭的に余裕がある」という意味ですが、cannot が付いていますから、「余裕がない」ということ。
e は free of charge。 「課金なし」つまり「ただで」「無料で」ということです。
f は rights の訳。「権利」
さて、英文の内容が理解できたでしょうか。それでは次に、音声を用意しましたから、穴あきのある英文で、ミランダ警告を完成しましょう。
【 練習 1】 Lv1
"Miranda Admonition" : |
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1 |
You ____ the right to remain silent. |
2 |
Anything you say can be used ____ you in court. |
3 |
You have the right to a ____ and to have the lawyer present both before and during any questioning. |
4 |
If you cannot ____ to hire a lawyer, one will be provided ____ of charge, if you wish one. |
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Do you ____ these rights? |
どうですか?できましたか?間違えがあったら、もう一度チャレンジ。出来るまでがんばってみてください。出来るようになったら、次は、さらに穴をあけたもので練習しましょう。
【 練習 2】 Lv2
"Miranda Admonition" : |
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1 |
You ____ the ____ to remain ____ . |
2 |
____ you say can be used ____ you in ____ . |
3 |
You ____ the right to a ____ and to have the ____ present both before and ____ any questioning. |
4 |
If you cannot ____ to hire a ____ , one will be provided ____ of charge, if you ____ one. |
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Do you ____ these rights? |
問題ないでしょうか? 出来るまでがんばって。次は、さらに穴のあいた物で仕上げましょう。
【 練習 3】 Lv3
"Miranda Admonition" : |
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1 |
You ____ the ____ to ____ ____ . |
2 |
____ you ____ can be ____ ____ you in ____ . |
3 |
You ____ the ____ to a ____ and to ____ the ____ present both ____ and ____ any ____. |
4 |
If you cannot ____ to ____ a ____ , one will be ____ ____ of ____ , if you ____ one. |
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____ you ____ these ____? |
これまで出来るようになったら、音声を聞かなくても、上の穴あき英文を見ただけで英語が浮かんでくるようになったでしょう?これであなたもアメリカのお巡りさんになれる?(冗談)
実は、これがリスニングを練習する方法のひとつなのです。リスニングの練習は、ラジオを聴け、DVDを英語で見ろ、などよく言われるのですが、ある程度のレベルに達していないと効果があまりありません。実は、知っている英文で、親しみのある物を、何度も繰り返して聞いてまねることが効果的なんです。
今回の始めに、誰もが知っていると思われる「ミランダの警告」を使いました。その英文に親しんでもらったあとで、それを素材にして数回、レベルを上げながら聞いてもらったのは、リスニングの練習方法を体験してもらうためでした。
あとは皆さんが、昔使っていた教科書の英文とか、好きな英語の歌などを使って、英文の理解から、穴あき原稿を作って書き取る練習をしてください。できれば、楽しくできるよう工夫してみてください。それでは、ご健闘を祈ります。 |