●夢と目標をもって、努力できる人間になろう
私の経験から言えば、たとえ実現不可能に思える夢であっても、何らかの夢を持ち、それに向かって歩み続けるほうが張り合いも生まれるし、生きていくのが楽しく感じられるということです。父が好きな言葉に、「怠けるものは不満を語り、努力するものは希望を語る」というのがありますが、夢や目標がなければ何をしたらよいのかわかりませんし、勉強する意味も見い出せないので、やらない理由ばかりを並び立てるようになります。そういう生活を続けていると、自分に自信が持てなくなるばかりでなく、周囲の人や世の中に対しても不満を持つようになります。
そうは言うものの、現代は夢や目標が持ちにくい時代だと言われています。世界的な不況の中で政治は混迷し、暗いニュースばかりが目立ち、子どもも若者も夢や目標を見つけることが難しくなっているからです。しかし、それでやる気をなくしたり、努力することを放棄してしまったら何も生まれてきません。「天才」と呼ばれたイチロー氏だって、自分のことを「努力の人」だと述べています。2010年にメジャーリーグ初の10年連続200安打を達成したことや、2016年に日米通算安打でMLB最多安打記録を更新したことも、日々の鍛錬や自分を甘やかさない姿勢を保ち続けていたからだと思います。私達に見えないところで、イチロー はどれほどの努力を重ねてきたことでしょう。
私の担当していたラジオ番組「チャレンジ禁多浪」から、放送の度ごとに勇気や元気をもらっていましたが、それはゲストの方々がどんな状況や環境にあっても、それを言い訳にしないで夢や目標に向かって努力し続ける姿を目の当たりにしたからだと思います。怠けてばかりいて不満を語る人になるか、努力して希望を語る人になるか、決めるのはあなた自身です。
学院では、あなた達の夢や目標を実現するために、十分な時間をかけて綿密な教育相談を行います。それを担当するのは元校長やベテラン家庭教師達で、彼らは教育相談員や教育アドバイザーと呼ばれています。父の代には教育相談を行うのはエデュケーショナル・ドクターと呼ばれる教育相談員だけでしたが、現在は教育相談員と教育アドバイザーがいます。両者ともに、病気の原因を探り治療を行う医師と同じように、生徒がなぜ勉強に対してやる気が出ないのか、成績が伸びないかを客観的に診断し、その原因を見つけ、対処法をアドバイスします。さらに、この教育相談では、夢や目標は何か、学力はどうか、学習態度はどうかなどをチェックしながら、いくつかの志望校の選定まで進みます。また、生徒が希望する先生のタイプなども聞き、数多くのプロ家庭教師の中から最適と思われる先生を選びます。もしも生徒との相性がよくない場合には、何回でも別の家庭教師を紹介します。それだけの規模と実績のある学院だからこそ可能なのですが、徹底した教育相談が功を奏し、家庭教師の交代が起きるケースは稀です。
私は、学院の家庭教師はすばらしいプロと断言することが出来ます。それは、かつて私がすばらしい家庭教師の指導を受けて大学に合格したこと、そして、今、指導に勤しむ家庭教師達と接していてそう思うのです。自社の化粧品が素晴らしいことを、経営者が自分自身をモデルケースに「私がその証明です」と言っているのを聞いたことがありますが、私の場合もまさにそれで、「私の人生が証明!」と言い切る自信があるのです。
実際の指導が始まると、家庭教師は生徒達のつまずきの原因をつかみ、適切な学習計画を立て、どこまでも親身な指導をします。親身な指導とはどのような指導かといいますと、それは次に紹介するT先生のようなやり方を指しています。T先生は、授業の最後に生徒に宿題を出して帰宅しますが、そこで生徒からのファックスを待ちます。ほぼ1時間の制限時間で、生徒からの解答ファックスが届きます。それを採点して、間違えた問題には×と解説をつけ、さらに類題をファックスで送信する作業をします。担当している生徒のすべてにこれを行うわけですから、T先生が寝るのは深夜になります。一方の生徒は間違えた問題と類題を解き、またファックスします。またまたT先生は採点して、十分であればすぐに「◎」をつけて返信します。
生徒にだけ努力を強いるのではなく、先生自身も見えない努力を続けているのです。
面倒なことはできれば避けたいし、いやなことはやりたくないと思うのは、誰でも持つごく普通の感情です。迷ったり悩んだりして、一人だけでは乗り越えられない壁もあるかと思います。そんな時にも、家庭教師は勉強を教えるだけでなく、あなた達の強力な味方になって精神面のフォローもします。家族以外でそのような相手を持てることは、大きな支えになるはずです。
その際に、注意してほしいことがあります。それは家庭教師が直接来て指導するのは、せいぜい週に1回か2回に限られているということです。そこで重要になってくるのが、家庭教師の来ない日の時間の過ごし方です。ポイントを押さえた指導を受けたあと、どうやって一人で勉強していくのか。普段の勉強はもちろん、とりわけ家庭教師が出す宿題はしっかりとやってほしいと思います。自分の時間をどのように使うかで、学力に大きな差が出てしまうからです。
勉強はわからないと苦痛ですが、積み重ねていけば必ずできるようになります。そうなると、楽しくなります。家庭教師を信頼するとともに、自分自身を信じることも大切なことです。マイナスの方向に流されそうになったら、家庭教師のカを借りながら、プラスの方向に軌道修正していってください。そして、夢と目標を持って、努カして希望を語る人になってください。あなた達一人ひとりがその力を持っているのですから!
夢や目標をもつことの大切さについてはすでに述べたとおりですが、それ以上に私が強く言いたいのは「可能性」についてです。「可能性」は自ら動くことによってはじめて広がっていくものです。この“自ら動く”というのが重要で、親がうるさいからとか、先生に叱られるからということで受身的に動いていたのでは、可能性は広がっていきませんし、その先にある目標や夢も達成することは出来ません。
これを家庭教師派遣に当てはめていうなら、週に3回も4回も家庭教師をつけて勉強漬けにすることは好ましいことではないと考えています。子どもの可能性を潰してしまうからです。親は子どものためと思っているかもしれませんが、子どもは全面的に家庭教師を頼るようになり、自ら考えて勉強するという姿勢がなくなってしまいます。それでは本当のやる気も育っていきません。それは私の経験からも言えることです。私にも家庭教師の先生に依存して、自らの頭を使って考え、行動することができなくなっていた時期があったからです。一方、家庭教師センターとして考えるならば、週に何日も家庭教師を依頼するご家庭があったほうが、学院の経営が潤うことは確かです。しかし、JTが「たばこの吸いすぎはやめましょう」と言ったり、電力会社が夏の電力消費の抑制を呼びかけたりするのと同じように、私も家庭教師達を適度に利用していただきたいと思っています。
学院は週に2回(受験が間近になると週3回もありますが)の指導でも、その間のフォローは十分にします。子どもを家庭教師漬けにすることは避けていただきたいと思います。また、生徒自身が自分の可能性を信じて自ら動くことはもちろんですが、ご家庭でも子どもの可能性を信じて静かに見守る姿勢を心がけていただきたいと思います。その上で、情報はできるだけ多く集めて選択肢の幅を広げていくことも、子どもの可能性を広げるための欠かせない要素になるでしょう。
最後に生徒に対しても心に留めておいてほしいことがあります。それは、家庭教師をつけるという恵まれた環境を用意してくれた親への感謝と、(現代の豊かな日本では薄れつつある感情かもしれませんが)学べるということの幸せ、そして時間を割いて来てくれる家庭教師への礼儀、何よりも「自分のために勉強する」という気持ちを忘れないでいてほしいということです。
「家庭教師」というキーワードで、まず思い浮かぶイメージは、賢く優しいお兄さんやお姉さん的先生ではないでしょうか。確かに当学院創業時に、初代ふくろう博士の父が家庭教師の募集でまずアプローチしたのは、当時事務所があった場所から一番近い大学、埼玉大学の学生でした。しかし、実際の大学生の現状は、入学した初年度は新しいカリキュラムや学業面に慣れるまで時間を要し、まだ第三者の勉強にまで気を配る余裕はありません。まして、交友関係を広げる部活やサークル活動に加入していれば、自分自身の時間の管理だけで一杯です。3年生になれば就職活動、4年生になれば卒業論文といった具合に、実際に家庭教師として十分に目配りできる時期は2年生の僅か1年間だけに限られてしまいます。学生時代における一期一会は、大人になっても忘れることが出来ない重要な意味をもつものです。たとえ、中学や高校1、2年生の生徒を担当しても、1年後には別の家庭教師に交代しなければなりません。せっかく、息の合ったところでの先生との別れは辛いものになるでしょう。ましてや塾のフォローや中学受験対策などが必須の小学生指導では、複数教科の指導、大手進学塾の課題対策、志望校の出題傾向、児童が持続できる集中力など、指導経験が不足した大学生には負担が重すぎて、不向きと考えます。
また、IT技術が進み、大学全入時代の当時、コミュニケーションを苦手とする学生が増えたようにも感じます。家庭教師の仕事は、たとえ大雨や交通機関に乱れがあったとしても、ご家庭に訪問し、指導日以外でも電話やメールで生徒をフォローするといった具合に、1週間の間フルに生徒・ご家庭のことを考えているものであります。たとえ指導時給が高くとも、割に合わないと思う学生も中にはいるかと思います。ボランティア要素も含む仕事ですが、志望校に合格した生徒からの感謝とねぎらいの言葉が最大の喜びであると考えるより、大手居酒屋チェーン店の厨房で、黙々とお皿を洗っている方が、面倒なコミュニケーションも必要なく、アルバイト代を貯めるには効率的と考える学生も多いように思います。以上の理由から、生徒の気持ちを第一に考えた末、学生の派遣を廃止し、最後まで責任を負える経験豊富なプロ家庭教師だけに絞る決心をしました。そのため以前の料金体系は、学生から超ベテランプロ家庭教師まで8コースもありましたが、今は学生を除く3コースになりよりシンプル化しています。
TBS「さんまのSUPERからくりTV)」共演した中村玉緒さんと私
2000年3月19日に放送された「さんまのSUPERからくりTV(TBSテレビ)」の人気コーナー「玉緒が行く」で、女優の中村玉緒さんが家庭教師に挑戦!という内容の収録があり、玉緒さんが生徒を指導する前に、家庭教師の登録試験を受験するシーンを中野における自社ビルで撮影しました。その際、撮影の空き時間に私の母と玉緒さんが、自己中心的な夫を持つ妻の苦労話でお互いに盛り上がるという一コマがあり、大女優なのに気さくな方という印象でした。新宿区百人町と池袋のサンシャイン60から中野に学院本部を移転したのは1995年のことでしたが、その翌年、母娘の葛藤と苦悩を題材にしたテレビドラマ「イグアナの娘(テレビ朝日)」でも、自社ビルがロケ地になりました。 この1996年5月20日に放送された「波紋、母が呼んだ家庭教師…」の回は、母親役の川島なお美さんが、溺愛する次女に家庭教師を依頼したのに、長女役で妹思いの菅野美穂さんが勝手にセンターに退会を申し入れ、その事実を知らずに母がセンターに訪ねるという内容で、そのセンターのロケ地に当学院が選ばれました。ドラマの中で退会理由は、家庭教師が次女に恋愛感情を持つという不謹慎な内容だったので、当学院にとってはマイナスイメージにつながりかねない恐れもあるのに、当時の父は自社ビルがお茶の間にPRできると喜んでいました。センターのスタッフを務めた相手役が、当時、川島なお美さんの担当マネージャーだったこともあって、撮影の合間も、彼が発するセリフの一言一言を川島さん自ら何度もチェックされ、川島なお美さんという人は、仕事に対してプロ意識を追求し、厳しくもあるが、相手の成長を心底願い思いやりがある方だと、強く私の中で印象に残っています。また、主人公のリカに恋愛感情を抱く同級生の名前が、父と同じ“のぼる(昇)”だったり、主人公の父親役を演じた草刈正雄さんの仕事が“獣医師”で、私も免許を持っていたりと、何かと当学院とご縁を感じるところの多いドラマでした。
テレ朝ドラマ「イグアナの娘」の撮影で出会った故川島なお美さんと私
JR中野駅南口から徒歩1分の好立地で、多くのロケ地として協力した自社ビルでしたが、老朽化による維持管理の問題が大きく、本来の家庭教師派遣業務に集中するために、2015年8月に従来の場所から約260メートル離れた、中野二丁目にある中野JMビル内の3階に学院本部を移転しました。移転した2015年は、奇しくも父と川島さんが亡くなり、娘役だった菅野さんが第1子男児を出産された年でもあります。1996年に川島さんと一緒に撮影した写真を見る度に、一日一日を自分らしく過ごす大切さを強く心に刻んでいます。
最後になりますが、家庭教師派遣という仕事は目に見えないものを売る商売です。
成績アップや合格など結果を出すことが商品価値と言えるかもしれませんが、それを生み出すのは家庭教師達です。家庭教師の指導を受けなければ合格できなかった、成績もアップしなかったということであれば、その商品価値は計り知れないほど大きなものになるはずです。次章では、プロ家庭教師あっての学院と思っている私が、心から信頼し、その力を高く評価している先生達を紹介させていただきたいと思います。