第11回
プロ家庭教師十人十色
当学院の誇る家庭教師が語るプロ家庭教師の実像
そのA 後編
一般的に、塾や塾講師の評判は聞くことはあっても、家庭教師の評判や情報については容易に入ってこないのが実情でしょう。そこで、学院のプロ家庭教師に、通常はあまり知ることのできない、指導方法、考え方、思いなどを直接に語っていただき、プロ家庭教師の実像に迫ってみたいと思いました。ここに登場する家庭教師は、二代目ふくろう博士の私が自信をもって推薦した先生方です。 (もちろん、学院には他にも素晴らしいプロ家庭教師がまだまだ大勢います)
生徒それぞれに個性があるように、ここに登場する先生方も個性豊かな、魅力ある方々です。先生方には、
@プロ家庭教師とは、日本家庭教師センター学院と他の家庭教師センターとの違いは、家庭教師の資質とは、Aご自身のアピールポイントは、B生徒にもっともつけてほしい力は、C印象に残っている生徒とのエピソード、などについてお尋ねしましたが、その答え方も十人十色で、文章中にその問いに対する答えを書かれている先生もいれば、自由に独自のスタイルで原稿をまとめられた先生もいます。それこそ、十人十色です。もし、自分の子どもがプロ家庭教師の指導を受けるとしたら、どの先生に依頼するか、そんなことも考えながら読んでいただければ幸いです。
村山 みゆき先生
5 特に印象に残っている大学受験生とのエピソード
A君との出会いは、高3、9月。夏の大会が終わるまで野球一本で、受験勉強はほとんど白紙に近い状態であり、親も本人も現役合格は絶望的とみていた。しっかりとした考えをもち、やる気は十二分に窺えたが、本人は当初家庭教師の指導を受けるということに、ためらいと抵抗があったようだ。
というのも、後で親御様より聞かされたところでは、高3の初めに某個別指導塾に申込み、一括前納で80万払い込んだが、部活のために通塾できないまま、授業料も返金されなかったこともあり、また負担をかけて成果が出ないと親に相当言われるのではという懸念が働いたようである。
母親は藁にもすがる思いですぐにも始めさせたい構えだったが、なにせ本人の主体的な意思が先決であるので、自分の方から頼んでくれというのを、内心焦りながらも待つことにしたという。
ひと月が過ぎ、10月初め「やっと息子がその気になりました。是非お願いします」とご連絡があった。会って開口一番、私が言ったのは、「何としても現役で入る!後がない!という気概でかかりましょう。浪人も已むなしという気で中途半端に取り組んだのでは、結果として浪人になった場合にも、やるだけやらなかった後悔が残る。今からでも決して遅くはない。できることはすべて手を打って引っ張り上げるから、今までの分を取り戻すべく、死に物狂いの覚悟でついてきて頂戴!」という言葉である。
指導開始時は、週1回2〜3hでスタートしたが、基礎が固まりセンターと小論対策を加えるに及んで、2学期期末考査明けの休みに入って以降、週2のペースに増やしていった。
本人は当初国語の読解や記述に自信がもてず、得点力も6割ラインを蛇行。自分はセンスがないとこぼしていたが、プロの眼からみてもなかなか優れた頭の筋と資質をもっており、鍛え方次第では化けるな!と期待できるものがあった。
大学入試の国語では、覚えるべきことというのは確実な得点源になる一方、古典の単語・文法などの知識は、それなくして文章の理解・読解はなしえないので、まずは土台となる必須事項を出来得る限り速攻で、効率よくたたきこむ。
そのためには、一にも二にも本人がどれだけ授業のための自学自習をし、教わったことを身に沁み込ませていけるかにかかっているので、まずは信頼関係を築き、とにかく課題を絶対にやっておくことを了解事項とする。
写真はイメージです
生徒は初め、このくらいやっておけば大丈夫だろうという高のくくり方をするのが常套だが、わたしの1回でこなす分量とスピードは度外れているので、最初は迫力負けしてビビルようだ。 が、高い目標のため、あくまで引き上げる、教え込むという姿勢を崩さぬうち、いつしか身体がやみつきになり、もっともっと!という風になっていくのが常のことであり、受験というハードルを超えるには、ある程度の厳粛さと調教的要素も必要ではないかと考えている。
基本的に私の持ち味が、明るくポジティヴに「その時その時」を全力で楽しむ方なので、それが生徒たちにも感染して、あまり悩んだり余計なことを考えたりする前に、高度なロジックに知的刺激を覚えたり、物語教材のもつ奥深く「情念的」な世界に惹きこまれていくようになるのだろう。
A君のお母様とは、普段顔を合わせ直接お話しする機会が持ちづらかったため、時折のメールや電話では、特に経過報告を念入りにした。
例えば、開始2ヶ月目、11月時点の以下のような文面。
「(前文略)A君とは少し話しましたが、まだ漢文に殆ど手をつけてないので、選択肢から外すかどうするか決めかねているようです。捨ててしまえばかなり楽な受験になりましょうが、漢文は短期促成も可能なので、やらない内から諦めるのは早計ではないかということや、国立を止め現古だけの志望にすると、受験できる大学も限られるが、最終的にその中で入れる大学ということで納得できるかなど、よく考えてみるよう話しました。
今回の模試については、未対策の記述に手がつけられなかったようですが、センター国立、慶応、中央に関して言えば記述問題は出ないので、焦るに足ることはないと申しました。やれば点数もついてくるものだし、書く力あっての小論勝負なので、これからやっていこうということも。センター過去問は、まだ波はあるものの(115以上/150点中)まで上げてきているので、もう一詰め確実性と漢文如何で手応えは見込めます。
毎回の宿題のペースがほぼ固定されてきて、開始当初の目を見張る程の意欲がやや尻すぼみ気味なので、あくまで目標は落とさず、そこに気持ちを向けていくようにと、今回から慶応対策の小論の宿題を強制的に課しました。
本人は、国語に今一自信をもつとこまでいってないようですが、たしかに文学肌とは違うなと思うものの、きわめて堅実に正統的な考えのできるタイプであり、受験国語での正答力を培うには、感性や名文の能力よりもむしろそちらの方が重要、A君の解答センスはかなり有望だと伝えておきました。
最終的には受験本番では、自分を信じられるかどうかにかかってくるものですので、そのためにできる最善のことを今やっておくしかないのだと思います。あまり自分から積極的には言わないタイプかと思っておりましたが、大分心を拓いてくれるようになりました。また、悩んでいるようでしたら、教えてください。くよくよ悩むより、1題でも問題を解くのが唯一の解決なのですが、国語の扱うテーマは自我形成や何のために勉強するかという、形而上学にも触れてくるので、大いに悩んでア・プリオリな、解のない難問に取り組むことは、今後小論での課題にもなってくるでしょう。(後略)」
お母様経由での間接的な励ましは、意外に功を奏したようで、本人の自信とやる気にも一段と弾みがついた。連日の深夜に及ぶFAX。唇の中にまでにきびを拵 (こしら)えながらも、とにかく課題達成への意気込みはすごかった。
現古の力が大体ついた頃合を見計らい一番遅く始めた漢文は、解答センスがずば抜けてよく、毎回かなりの正答率をはじき出すことができた。これに気をよくし、肝心要の(本命慶応で大きな比重を占める)小論もイケイケ・ドンドンという感じで、高い要請の下に厳しくガンガン引き上げた。
最後は慶応一本に絞り、ダメならもう一年という「達観」までの強い思いが本人の中にはあったようだが、とにかく目標を見据えてひたすら慶応対策に全力傾倒。
結果、センター(168/200)、中央合格に続き、本命慶応(経済)も見事合格!
「奇跡の合格」「A高の三不思議」と学校の先生・学友をして言わしめた快挙であったが、奇跡はただ待っていて自然と起こるものではない。
本人の資質をどこまで十全に伸ばせられるかという、綿密な学習プログラミングもさることながら、何よりもA君の「意識」の高さと正念場における必死の「努力」、さらに陰に日向に支えてこられた親御様の「愛情」あっての賜物と、心より敬服をいたすと同時に、前途に幸あらんことを願って止まない。
テレビ出演・協力番組
TBS 「さんまのからくりテレビ」
テレビ東京「テレビチャンピオン・漢字王選手権」
小学生親子大会・学校の先生大会
「チャンピオンズ・漢字王選手権」小学生大会
「チヤンピオンズ・インテリ芸能人vsスゴ脳小学生」パートT・U
日本テレビ「小学校教科書クイズ」第T・U・V弾