近年、AIの進化はめざましいものがある。100年以上前、パリでマッチ箱の裏に描かれた想像の産物(ビデオ会議・TV電話・AIスピーカー等)が、今当たり前に世の中で使われている。
今後の未来予想図はどうか。
2024 火星への有人ロケットが飛び立つ
2026 都市の一部で空飛ぶ車が通る
2030 石油産業が壊滅、経済は下降の一途をたどる
今ですらネットワークにつながっていないと不安になるが、この頃になると、人間とコンピューターの境目がわからなくなる。
2036 スマートシティが世界中に登場
2038 人類の日常生活が消滅
日経新聞は今年1月1日「つながる100億の脳」と題する記事で、テクノロジーのスピード感・加速感を説いている。
1997 チェス王者 カスパロフ氏がIBMのディープ・ブルー(スーパーコンピューター)に敗れる。
2016 AIが囲碁のトップ碁士に勝利
2017 AlphaGo Zero 人が教えることなく、ゼロから自己対局で学び、40時間の学習でAlphaGoに100戦100勝
2018 あらゆる人工知能に勝利 強いものがどんどん強くなる。
中国の躍進にも注目だ。中国のアリババ傘下のティーモールは、1日の売り上げ3兆円に上る。世界最先端の高速鉄道を持っているのは、今中国である。中国の8年間は、我々の8年間とスピード感が違う。ドンガンのファーウェイのオフィスに通うのは、14億人の中のトップエリートで、ファーウェイの中堅エンジニアの月給は50万、上海でその半分、地方都市では10分の1に満たない。中国のエンジニアは、30過ぎると転職すらできず、ファーウェイのエンジニアは35で引退。結構な数の人が自殺するのが、社会問題となっている。
中国の中でも最貧と言われた貴陽は、今やビッグデータ産業の集積地だ。データ社会への移行が、過去にインフラなどの蓄積がなかった分、一気に加速している。データ駆動型社会、遠隔医療システム&ターミナルなど、何もなかったからこそ、進化できる。言われたとおりに生産すれば、やみくもに作るより生産性は上がる。500機ものドローンを1機ずつAIが管理。中国では失われた100年があったが、データを基盤とした国造りで、ゼロから新しい首都を作っている。
対して日本は、テクノロジー後進国である。予算も人も減っている。過去の仕組み、既得権や固定観念にとらわれ、変われていない。少子高齢化を言い訳に、変わらなさすぎた。60歳以上の多くが、働きたいのに働けず、何もやってない人が70%、TVだけを見ている。80歳以上が医療費を圧倒的に使う。国難かともいえる。
平成30年を終えて、何も残らない。世界トップ50にトヨタしか入らない。サムスン1社で日本の経団連と同じくらいの力を持っている。
このように、社会が全く新しい転換点に入ろうとしているときに、
エクスポネンシャル(指数関数的)・・・倍々で進む。
ドラえもんのバイバインというのは、1滴垂らすと5分に1回倍々になる薬で、たとえば栗まんじゅう1個が1時間で4000個、2時間で1億個超える。
人間の脳は、Liner(算術的)にしか将来予測できないが、科学技術はExponential(指数関数的)に進化する。
我々の脳は短期的な見返りに対し反応するが、そのポイントを超えたときに、
【デジタル化した瞬間 】
潜行・破壊・非収益化・非物質化・大衆化・・・加速する
写真はかつて富裕層しか得られなかった。写真自体は大衆化し、増え続けるが、紙の写真はなくなる。ありとあらゆるものが、万能機器に取り込まれる。我々世代が秋葉原に並んで買ったウインドウズ95は、今と比べるとコンピューティングパワーは限りなくゼロである。
水の勢いにたとえるなら、見えたら最後、一瞬にして埋まってしまう。結構早い段階で、ポスト・ヒューマン的なことになるのではないか。
現在20億台位の、インターネットにつながる機器があるが、10年後は500億台、20年後は5000億台になるだろう。
遺伝子検査は、2010年代に編集がやっとできるようになった。100万円していたのが、今は千円を切り、10円でできる時代がやってくる。米国では2600万人が実施しており、2社が独占。あと10年で、ほぼ米国の全国民のデータが解析され、色々な病気が治るようになる。
太陽光発電の価格は、下がり続けている。ここ数年で一足飛びに予測しなかったほどの変化が起き、今は原発不要の議論も世界で加速している。
失われた数10年はマネーが横ばいだったが、今後エクスポネンシャルに増える。
5年前、トヨタがUberと提携しようとしたとき、タクシー業界の大反対に遭ったが、現時点でUberの時価総額が7、8兆円。トヨタは20兆位だが、一瞬の内に、主従逆転現象が起こっていく。アメリカではこの先、トヨタはUberの下請けでしかなくなっている・・・そういう未来は恐ろしいものなのか。
電話に始まる、情報コミュニケーションの改革は、明らかに人間の暮らしを豊かにした。働いている時間や生きるのが大変だった時代、戦争期に比べると、働き方改革ができるようになった。
産業革命後の人類は、百数十年で40年以上、寿命が延びている。肉体は限界があるが、細胞レベルの延命化は、日本が進んでいる。現時点で人生100年時代。今の中高校生は、150年時代を考えていかないといけない。だとしたら、今何をやるか。その中で、シンギュラリティの議論が叫ばれている。
人工知能のIQはもはや1万を超える。孫氏が、「40億年の地球の歴史の中で、初めてAIが人類を超える」と謳い、経営者からシンギュラリティの言葉が出たと驚かれたが、今では仮面ライダーがAI社長という設定であり、幼稚園生がシンギュラリティを連呼する。
ホーキング、アインシュタインに並ぶ天才、カールワイツによると、
シンギュラリティ(技術的特異点)は無限大に拡大する。
倍々で加速する進化のスピードが今、上がり目に来ており、2045年には進化のスピード曲線が垂直になる。
AIが人間を超えるという小さなことではなく、あらゆるものが劇的に変わり、不死につながるということが起こりうる。
人間の脳は過去に基づいた経験値しか予測できないが、2020年代後半には、コンピューターの複雑性と生産性が人間の脳を超える。
日本はかつて、先進国の中で1億というのは、大きい国だったが、経済規模が広がり20億人程度となったときに、日本語の人口は世界の中では相対的に小くなった。日本だけで通用する日本語習得に時間を使うのか、世界の中の戦いに時間を使うのかは、今後さらに議論されてよいだろう。
この激動の時代に、未来を見通す努力をしていけるかは、次世代に責任を持てるかということに関わってくるのだから。
世界中の人が英語を喋り、ユーチューブやウィキペディアを駆使し、政府が子供たちにiPhoneを配る。そうした図式はもう現実のものだ。
グローバル・ネットワーク時代において、エクスポネンシャル思考、一般教養として、学ぶべきことは学ぶ。英語は当然必要であり、10年後中国は単独トップになると想定すれば、中国語も必要である。
テクノロジーを俯瞰する力、教養としてのテクノロジー、それを学ばないと、世界で今何が起きているかを理解できない。
ヒューマノイドロボットが、20年後にはどの家庭にも一家に1台、職場でも隣にある時代がやってくる。
企業は同業他社をライバルとしてみていたが、今はお客さんがテクノロジーを使い、情報を集めデザインすることができるようになっている。個のエンパワーメントが、これからのキャリアで大切である。
企業を起こすための時間軸も加速している。かつては松下幸之助や本田宗一郎が20年かけてやったことを、Snapchatではわずか3年で学生がやってしまっている。
ありとあらゆるものがモジュール化している。それを組み合わせることで、ビジネスができてしまう。ならば、やらないのは損、ということにもなろう。
教育の破壊と再構築・・・待ったなし
生活習慣はまだ学校の役目だが、エクスポネンシャルな感覚を持たない親・教師・上司・先輩の徹底した再教育が必要である。
10秒で、Apple社は500万の売り上げ、100万の利益を稼ぐ。一方で飢えて死ぬ子も後を絶たない。未来の可能性は、我々全員の手の中にある。
たとえテクノロジーは変遷しても、根底にある価値は変わらないはず。
現代を生きる子供たちへのアドバイスとしては、「強い思いをもって表に出してやりたいことをやれ!」ということに尽きる。制限、制約だと思っていたものが、どんどんなくなっている。弱い者ほど、テクノロジーの恩恵は大きい。学校が教えられないところの外側で、できることが増えている。
職業や会社というより、自分に立脚して、面白いと思うことをやった方がいい。世の中の人は、大体面白くないことをやっている。本質として、自分が何を必要としているのか。
夢のあるプロジェクトには若者が集まり、働き方も自由になっていくだろう。
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