大手中学受験予備校の国語科講師をしていた時、2月にカリキュラムがスタートすると、丁度今頃の時期に増える生徒からの相談として、『説明文が苦手』とか、『説明文の文書が読み終らない』というものが多くあった。
そこで、説明文の読解のコツが掴めていない中学受験生のための『中学受験国語説明文読解のポイント』を説明する。
ポイント1
『文末表現』に注意して、その文末表現を含む文に傍線を引く。
- 強調表現→例 〜すべきだ。 〜しなければならない。
※筆者は自分の意見を伝えたくて強調表現を使う。
→設問の解答に絡みやすい部分となりうる。
- 筆者の思考を表す表現→例 〜と思う。 〜と考える。
※このような表現は、まさしく筆者が考えや思いを伝えたくて使う表現である。
→設問の解答に絡みやすい部分となりうる。
- 反語表現→例 〜でなかろうか。
※このような表現は、直接的に筆者が自らの意見や考えを書くのではなく、婉曲的に伝えようとするもので、中学受験国語の説明文読解問題でも、設問の解答に絡みやすい部分である。
ポイント2
接続詞や接続助詞に注意して読み、これらを手掛かりにして傍線を引く。
- 逆接→直後の文がとても重要!
ア.接続詞→例 しかし けれども ところが
イ.接続助詞→例 ……だが、【この部分が重要】
……が、 【この部分が重要】
……のに、【この部分が重要】
- 順接→因果関係や理由付けから筆者の意見を導く部分で、かなり重要な部分になる。
→設問の解答に絡みやすい部分なので、必ず【そこで だから ですから】の前後に傍線を引く。
※首都圏の中学受験国語の説明文の過去問をここ二十年位分析してきた経験からすると、順接の接続詞【そこで だから ですから】などの後の文が筆者の意見や考えの部分であることから、この部分が解答もしくは解答に絡みやすい部分として出題されていることが多い。
他方で【そこで だから ですから】の後に出題者が傍線を引き、理由や原因を問う出題をし、【そこで だから ですから】の直前の文を使い解答を導くものも、かなりの頻度で見受けられる。
- 抽象化する文頭表現に注意して、直後の文に傍線を引く。
→何らかの具体例などが示された後に、抽象化された筆者の意見や見方を示す部分である。→設問の解答に絡みやすい部分となりうるので傍線を引く。
ア.抽象化の接続詞【つまり 要するに すなわち】
[具体例 例示] 【つまり 要するに すなわち】
<抽象化された筆者の意見>
イ.指示語を使った抽象化する表現
【このように このようにして このようなことから】など
[具体例 例示]【このように このようにして このようなことから】
<抽象化された筆者の意見>
- 具体例を挙げる表現の後は、設問に絡みやすい部分ではないので、軽く読み、傍線を引くべきではない。むしろ、具体例を挙げる表現【例えば 例を挙げれば】などの前に筆者の意見が示されていることが多いので、【例えば 例を挙げれば】などの前に傍線を引くことを勧めたい。
ポイント3
次に示す文中表現は、中学受験国語の説明文の素材文に見られるものであり、必ずしも高校受験や大学受験の現代文の素材文に表れるものではないが、解答に絡みやすい部分なので、注意して傍線を引くことを勧めたい。
- こそ のみ
- 絶対に おおげさに言えば
- 重要なのは 大切なのは 必要なのは 肝心なのは
※首都圏中学受験の国語の説明文の素材文に、受験生が初等教育を修了する直前の児童という点から、筆者の意見が掴み易いものを選択するという配慮をする私立中学もあるので、ここでは敢えて項目を分けて説明している。
ポイント4
段落数が多い説明文の読解問題では、文中の【問題提起】の文に必ず傍線を引き、対応する筆者が文中で示す【問題提起に対応する答】の文にも傍線を引き、どんなに段落が離れていても両者をリンクさせる。
このとき、リンクさせるのに使えるのが、同義語の繰返しであり、この同義語が文章全体を通じたキーワードになっていることが多い。→設問の解答にほとんどの場合絡んでくる。
設問が記述式の場合は、このキーワードや繰返し使われている同義語を解答に織り混ぜて、字数制限の中で解答を作成する。
他方で、選択式の設問では、キーワードや繰返し使われている同義語を含まない選択肢を先に落とし、続いて筆者の意見に照らし合わせて、正解肢を選択する。
ポイント5
日常的に、語句の勉強を継続し、漢字の読み書き、同義語、対義語、ことわざ、慣用句の知識を受験までに用意することを勧めたい。
例えば、私が講師をしていた中学受験塾Nには『漢字マスター』や『語句のたしなみ』などの副教材が用意されている。他のYならびにSという中学受験塾も、やはり漢字や語句の副教材が用意されているので、これらの有効活用をお勧めする。漢字はABCなどのアルファベットや平仮名、片仮名などのような表音文字ではなく、【表意文字】なので、意味を考えながら学習されることを勧めたい。
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