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1. 「きょうだい」とは
- 「きょうだい関係」:多くは所与の関係(友人関係などのような選択的関係ではない)
- 強い心理的なつながり(心理的近さ)→影響力の大きさ
- 人間および人間行動の理解:個人的要因と状況要因の相互作用
「人間は、状況における存在である。人間は状況を離れては存在し得ない(サルトル)」
- 「心理学」:人間行動・関係性(つながり)の科学
- きょうだいの出生順位:重要な状況要因
2. きょうだい関係の心理
- 出生順位と家庭内位置(心理的環境)→個人の自己(形成)に影響:周囲の(社会的)期待、日常的接触、競争と協力、ライバル意識、葛藤→人間関係の基礎を形成する
- きょうだい関係と友人関係の相互関連
- 出生順位とパーソナリティ・行動傾向
?@第一子:責任感が強い、几帳面、慎重
?A中間子:人当たりがよい、空気を読む
?B末っ子:型にはまらない、甘え上手
3.スポーツ向き心性(下の子)
- 2010年サッカーワールドカップ男子日本代表メンバー 23人中、末っ子17名、中間子5名、第一子1名、ひとりっ子0人
- また、三浦、柱谷、遠藤(三兄弟)など、きょうだいで活躍のサッカー選手:実績は下が優位
- 女子でも澤、宮間、スケートの浅田真央、ゴルフの宮里藍、マラソンの高橋尚子の各選手も下
- プロ野球歴代ホームラン10傑:王、野村、山本浩二など、多くが末っ子(長嶋、松井、イチローも)
- 大リーガーのきょうだい選手:成績は下が優位(打撃成績、盗塁数、得た四死球数、在籍期間の長さ)
4.ひとりっ子
- ひとりっ子のパーソナリティ・行動特性:芯が強い、ここぞという(中核的)側面に強い自信、マイペース
- ひとりっ子家庭の増加
2002年:8.9%, 2005年:11.7%, 2010年:15.9%
( vs 2人子どもの家庭:56.2%)
- 3人子どもの家庭
2002年:30.2%, 2005年:22.4%, 2010年:19.4%
- 4人以上子どもの家庭
2002年:30.2%, 2005年:4.2%, 2010年:2.2%
→中間子の減少
(国立社会保障・人口問題研究所, 2011)
5.きょうだい心理の年齢的変化
- 社会化による心理的成熟ときょうだい尊重
- 対人的技能の獲得:適度な距離を保ちつつ関係を維持する工夫
- きょうだいとの差異化と相互客観視
- 自己肯定化:年齢とともに自己の中核領域(得意分野)での達成レベルが上昇(磯崎, 2007)→自己の中核領域や志向性がきょうだい間で差異化→棲み分け→きょうだい関係の肯定化と相互尊重(自他の肯定)
6.きょうだい心理:
教育へのインプリケーション
- 個は、状況(出生順など)の中で育まれる
- 個に応じた対応(出生順特性を活かす:ノーベル賞、特に物理・化学賞は第一子に多く、平和賞・文学賞は末っ子に多い、また第一子女子は社会的地位が高くなる傾向など)
- きょうだい意識やきょうだい間葛藤への配慮
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