グローバル化の波が押し寄せる昨今、学生に対してこれまでのどんな時代よりも切実に、英語をあやつる能力を習得することが要求されている。当然、海外で学ぼうとする生徒も増えているが、最近、注目されているのは海外にある日本の学校、つまり在外校へ進学するという選択肢である。
ひと昔前は、在外校は海外で勤務する親に付いて、外国に行った生徒の通う学校として、認知されていた。しかし今は、親が日本で暮らしているのに、子供だけが渡航して、寮生活をしながら勉強することが珍しくない。
在外校を列挙すると、立教英国学院(小学部から高等部)、帝京ロンドン学園(高等部)、早稲田渋谷シンガポール校(高等部)、慶應義塾ニューヨーク校(高等部)、スイス公文学園(高等部)、聖学院アトランタ国際学校(幼稚園・小学部)など、現在は若干数である。
いずれも文部科学省が認可した教育機関であり、卒業すれば日本の高校を出たのと同じ資格がとれる。生徒は全員が日本人であるが、授業は日本語と英語の両方で行われる。つまり、日本と同じ教育を受けながら、さらに英語を磨けるという利点がある。
また、これらの学校に行くと、卒業後に付属の大学に進学できるのも魅力である。慶應ニューヨーク校は、卒業生のほぼ100パーセントが慶應大学に進むし、早稲田渋谷シンガポール校は早稲田大学への推薦枠が50ある。これは生徒数の半分である。 在外校の入試問題を国内の同系列の付属高校と比較すると、偏差値に換算した場合、かなり低くなる場合が多い。そのかわり、英文のエッセイを書いたり、英語での面接を受けたりしなければならない。したがって、受験の準備にも、特にこの二点に重点を置いた対策が必要となる。そのため、最近は在外校受験に特化した専門塾や特別コースを用意する予備校なども増えているが、仕上げにあたり1対1の家庭教師によるきめの細かいサポートは、かなり有効な手立てとなろう。
今回、在外校をとりあげたのは、実際に私が教えていた中にも、慶應ニューヨーク校などへ進学した生徒が数名いるからである。とは言え彼らが皆、出会った当初において特別に英語が優秀だったわけではない。いずれも、英検の三級合格さえおぼつかない状態からのスタートだった。しかし、生徒各々が、意志の強さと努力によって、苦手な英語を克服し、英文のエッセイや面接に対応できるようになったのである。
この先、ますます海外への志向が強まり、進学の形態も多様化していくことだろう。家庭教師も常に新たな波をとらえ、柔軟に対応していくことが求められる。
在外校へと向かう生徒、帰国して日本でのステップアップのため、再挑戦する生徒。
選択の幅を広げ、活躍していこうとする若人を、温かく応援できるような社会でありたいと願う。
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