入試まで残りあとわずか。この時期、入試に備え何をすべきか、またどのような心構えで入試に臨むべきかを考えてみよう。
1:新しい問題集には手を出すな
この時期新しい問題集に手を出すと、往々にして、「あれもやらなくてはいけない、これも覚えなくてはいけない」と不安になり焦りを生む原因となる。それよりは、今まで使ってきた問題集のなかで、かつて自分が間違えた問題や重要と思われる問題を繰り返しやることが大切。
不安な気持ちのまま試験に臨むより、やるだけのことはやってきたのだと思える状態で試験に臨むほうが実力を発揮できるものだ。
2:入試問題のレベルに慣れよ。
入試問題の出題傾向は、まず変わらないものと思ってよいだろう。その前提にたてば、入試過去問題を繰り返しやることには意味がある。過去問をやることによってそのレベルに慣れるのだ。慣れることができればふだん通りの力を発揮できる。
入試は一発勝負。試験会場はほとんどの場合初めての場所であり、周りにいる受験生も知らない人たちばかり。そんな中でふだん通りの力を出すことはけっこう難しいもの。
入試で120%の力を出そうなどと思ってはならない。たいていの場合、80%90%出せれば良いほうなのだ。
その主たる要因は、焦りと緊張。その焦りをなくし緊張をほぐすためにも、過去問に慣れ問題のレベルに慣れておけば、本番の入試問題を目にした時、「いつもと同じ感じだ。」と思え安心感が生まれる。安心感が生まれればふだん通りの実力を発揮しやすくなるものなのだ。
もし万が一、出題傾向が大きく変わっていたら、「やばい、変わってる。どうしよう。」ではなく、変わっていることをきちんと受け止めて、「ほかのひとも出題傾向が変わって面喰っているだろうな。条件は同じだ。」と気持ちを切りかえて動揺しないことが大切。
平常心を保てるか否かはふだん通りの力を発揮できるか否かの分かれ目なのだ。
3:時間配分の練習をせよ。
試験時間は限られている。その限られた時間を、無駄なく有効に使わなくてはならない。
解くのに時間をかけたならその問題は得点にしたいところ。時間をかけてトライしたが得点にすることができなかったという事態は避けねばならない。
学校の定期テストなどでこんな経験はないだろうか。
「難問に時間をかけすぎてしまい、それ以外の簡単な問題をやる時間が無くなって失敗した。」
たとえば、10分で難問一つを解いて10点、10分で易しい問題を三問解いて15点という場合。こういったケースはよくあるのだが、同じ10分を使うなら15点を取りにいくべきであろう。効率のよい時間配分は大切なのだ。
特に算数や数学の過去問をこなす中で、毎年1問や2問手を焼く問題が出ることが分かっていれば、それを“捨て問”にすることもあらかじめ考えておく必要がある。
ほとんどの受験生が手を焼くであろう難問に時間を使って中途半端に終わるより、その時間を他の問題の見直しに使ってより確実に得点するほうが時間配分としては正解だ。
過去問に取り組むなかで、このような“捨て問”を覚悟した時間配分の練習は不可欠だ。60分で6問解こうとするのではなく、50分で5問解き、10分を既に解答した5問の見直しに充ててケアレスミスをなくすほうがより現実的であろう。
「急がばまわれ」と言う。まともに答えを出せるかどうかわからないような問題に時間を費やすより、既に解答した問題を確実に得点に結びつけるために時間を使うほうが賢明と言えるだろう。
入試ではふだんはしないようなミスが出たりするもの。多くの受験生が難なく正解しているような問題をケアレスミスで間違えてしまうと、その分を他の比較的難しい問題を解くことで挽回しなくてはならない。これは大変難しいことなのだ。このようなケアレスミスを防ぐためにも、“捨て問”を考慮した時間配分の練習が重要なのだ。
私はふだん、指導する生徒には「頑張った分だけ点をとっておいで。」と言っている。この言葉は入試においても同じだと思っている。実力以上の力を入試本番で出せる訳がない。
入試を目前に控えているみなさん、みなさんのふだんの頑張りが実を結ぶことを祈っている。
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