家庭教師という仕事は、学校や塾という集団指導の場とは異なり、ご家庭という私的な空間の中で営まれるだけに、細心の注意と心構えをもって臨まなければならない。マンネリ化を防ぐためにも、今一度理想の家庭教師像のポイントを再検討してみたい。
1. 充分な実力や指導力を持ち、また、人間性も豊かでありたい。
学院では、教職経験者を含め登録試験で合格した人をプロとして採用し、その後仕事に就いてからも、研修会を通じ常に自己研鑽の場を与え、ベストな指導ができるように尽力している。また家庭教師は、指導力と共に人間性を磨くことが大切である。
2. 挨拶や言葉遣い、身だしなみ、常識などを心がけたい。
社会人として当然わきまえなければならないことがなおざりになっていると、ご家庭に対して礼を欠くことになる。常識を逸した言動などは、当然あってはならない。
3. 常に親とコミュ二ケーションをとり、よりよい人間関係を築くようにしたい。
帰りがけに二言三言でも、生徒の学習状況やよくできたことなどを伝えることにより、安心感をもたらし、よい人間関係が築ける。
4. 常に責任感、信頼感をもち、誠実で明朗、謙虚であるようにしたい。
時間や約束厳守がされないと、責任感も信頼感もなくしてしまう。また、言動、雰囲気、態度から、細心の心配りをすることによって、ご家庭によい印象を与えることになる。
5. 生徒の個性、レベルなどをしっかりと把握し、志望校選びや進路指導のアドバイスをしたい。
中学受験では、特に偏差値を目安に的確な学校選びのアドバイスをする。高校受験に於いては、適性検査の判定から見て、将来の進路に合わせた学校選びが大切だ。大学の志望においても、生徒の悩みの相談にのるなど、マンツーマンならではの観点から、生徒の支援者になりたい。
6. 生徒の集中力、根気、意欲、自信をつけるなど、指導上の工夫をしたい。
これらの学習の基本姿勢をつけさせることが、成績向上の鍵である。それぞれの持ち味で、ユニークなオリジナリティを発揮されたい。
7. 指導進度と学習内容の理解度は常にチェックし、計画を立てて行うべし。
公立の生徒(小学生)の教科書主体の指導では、先に進みすぎが禁物の場合もある。しかし、受験学習においては計画を立て、どんどんやりこなしていかなければならない。生徒の弱点部分や理解不十分な点は、徹底的に指導して理解させたい。
8. 熱意のある指導で、授業は楽しい雰囲気で進行したい。
緊張の連続の場合、生徒の疲れが見えたときなど、気分を和らげるためにも、ユーモアのある一言などで笑いこぼれる楽しい雰囲気にしたい。
9. わかりやすく、きめ細やかな指導をしたい。
単刀直入に的を射た正しい解説を。難解な言葉や回りくどい説明は、かえって生徒を混乱させる。宿題をきちんとする生徒は実力が定着する。カードやパソコンなどの七つ道具を使用するとか、創意工夫をしたい。
10.受験指導のプロである以上、合格という目標達成に惜しみない努力を続けたい。
その生徒を担当したその日から、「合格させる」という強い信念で始めなければならない。結果よければすべてよし。よい結果を出せば、生徒、親御さん共々に喜び合える。これでこそ、家庭教師冥利につきるのである。
*以上10項目のポイントは、家庭教師自身に向けてのこと、ご家庭に向けてのこと、生徒に向けてのこと、に分類できる。この理想像は、今の現実を顧みながら、初心に立ち返り自己研鑽していく上で、自分にとっての金科玉条としていきたい。
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