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ネットいじめ・いじめ・不登校・ひきこもり・少年犯罪に本格的に取り組む。全国各地より依頼を受け、年間200会場以上で講演会や研修会を行う。過去5年間での受講者の数も20万人を越える。
(全国webカウンセリング協議会理事長、第一高等学院統括カウンセラー、ウィザス高等学校・ウィザスナビ高等学校統括カウンセラー)
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年間に全国で15000〜16000件の相談に乗っているが、問題のあるケースというのは必ず家庭に原因がある。親の精神状態と子供の精神状態は比例しているので、子供だけ何とかしようと思っても無理である。夫婦仲がうまくいってない時、子供に干渉しようとする。
干渉と過保護は表裏一体である。長年にわたって、目覚ましで起きられない子供に育てていることに気づいていない。こんにちは、ありがとうは、自分の意思で言うものである。自分でできることを自分でやらせないのは、甘やかしである。まぶしいと言うだけで、何でもやってくれる親がいる。言葉が足りない。一歩外へ出ると、親のようにレールを引いてくれる人はいない。そこで、人の顔色をうかがってしまう。友人の誘いを断ることができない。日本人は、どこかのグループに入っていないと、なんとなく自分がみじめに思えてくる。家でわがままを言っている子供は、慣れてくると友達にもわがままが出る。一方的に自分の話だけして、人の話を否定するので、周りから浮いて嫌われる。
学校へ行きたくないと子供が言うと、行きたくないなら行かなくていい、勉強は家でもできるでしょと簡単に言う。一番影響力のある親から、楽な選択肢を与えられたら、子供はあえて乗り越えようとしない。ところが、親は毎日子どものだらしない生活態度を見ていると、口をつきたくなる。
人間には、絶対に触れてほしくない話題がある。不登校の子どもの場合、<学校・友達・お金・将来>である。行かなくていいと言いながら、言ってほしくないことを言われるので、引きこもりたくなるのも当然である。ストレスが極限状況の時、バランスを取ろうとして、昼夜逆転が起きる。親と関わりたくない訳で、夜中は皆寝ているからホッとできる。
いったんこうした状況になると、放置すると悪化するばかりだが、改善の方法は意外と簡単である。
1. 最高の表情を作る
作り笑いというのは、目が笑っていず、顔がピクピクしている。人間は、心から笑っているウキウキしている人を見ると、楽しくなる。作り笑いを見抜けない人はいない。子どもの前で、どれだけ安心できる表情ができるか。こわばっていて心に余裕がないと、心から笑えない。人間は、好きな人の前では自然といい表情になる。不安定な状態の時でも、好きな人を見ると自然と笑みが出て、瞳孔が大きくなる。気持ちが疲れてきたなと思ったら、好きな番組や好きな芸能人の録画を何遍も見るといい。
手を上で伸ばして、顔を反らせ舌を鼻に付けようとする。そのときの口元が、笑っている時のそれである。家族の中の一人でも不安定でこわばっていると、緊張感が漂う。笑う筋肉は作ろうとすればすぐできる。
サッカーの話題に興じていて楽しいのは、振りでなく、本当に興味のある表情で話した時である。子供を知りたければ、子供が興味を持つ世界を一緒に知ろうと思い、興味を持つよう努めることだ。先生が得意なことを教えるときは、オーラが出ているから、いい質問も出る。否定的な言葉でなく、愛情ある言葉は子供にたまっていく。
会話を復活させるには、いい表情ができるか。反応がない子どもほど、言葉を聞いている。呑み込まず、語ろうと思ったことは、魂を以て伝える。
2.相手との位置
不安定な人と話す時は、まず座らせる。立ち話では落ち着かない。正面は避ける。正論を言おうとしても、呑み込まれてしまう。手を伸ばせば相手に触れられる距離の、対角線がよい。冷静に落ち着いて話したい時、相手を左前に座らせる。右脳の働きに関係してくるが、その方が双方に、リラックスした気持ちいい状態が生まれる。
3.受容的に聴く
前かがみになると、相手の話を聞く姿勢を示す。不安定な子どもの場合、じっと見られると追い詰めてしまう。目を見るのは基本だが、見すぎない。逃げ場所を作る。
相手がカッカしている時は、反論してはいけない。「でも」「だって」はおこらせる。
うなずきが有効。しっかりうなずくと、話しやすい。うなずくだけで、受け止めているという印象を与え、相手への伝わり方が全然違う。
カッカしている時は、相手を追い詰め後悔してしまうようなことを言っている。それには触れず、100の内子供が99おかしいことを言っていたとしても、1つでももっともだというところがあれば、それを認める。
ただし、わざとできないことを言ってきたら、言いなりになってはいけない。無謀なことには触れず、傷ついた子供に詫びる。回数の問題ではなく、本当に相手に伝わるような詫び方ができるかだ。家族皆が優しい気持ちになり、「ありがとう」と思いながら食べる料理は味が違う。
4.名前で呼ぶ
家でも学校でも、「あなた」という不特定多数の2人称でなく、名前で呼ばれると、自分のことを見ているんだという気になる。手紙やメッセージも、打ったものでなく、手書きのものは心に残る。
5.時間を決めること
終わりの時間を定めないものは、効果が表れない。最初に時間設定をする。子どもが集中できる時間は1時間とみて、頭の中で時間設定ができていれば、子供はまとめて言う。
時間設定をして相談に乗るということは、その子とのドラマが始まったこと。
言葉というのは7%で、後は全体から感じ取る。相談に乗るということは、「聞く」ではなくて「聴く」、つまり目と心で感じ取ることである。
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