A 指導の基本を再確認せよ
1 指導者に求められるもの
(1)深い人間性と広い社会性
指導すべき学科の学問上の高い知識は当然求められる。さらに生徒が抱えている問題点を見抜き、指導の根幹をどこに置くかを速やかに判断し、対策を立て実行する能力が必要だ。またそれ以上に家庭教師として生徒や家庭、及び学院から尊敬され信頼される人物でなければならない。いかような生徒に対しても心穏やかに受け止め、おおらかな気持ちで生徒を指導していくことが肝要である。
また一社会人としての常識、良識はむろん、世の中のさまざまなことを経験し通暁して、生徒から頼られる人物であることが望ましい。
(2)コミュニケーション力
生徒との間はもちろん、相談員の先生及び親(特に母親)とは密に連絡を取り合い、授業の内容、進展度や問題点を常に伝えるようにする。また授業日程の変更や指導回数の増減などは親ともしっかり話し合い了解を得ておくこと。また相談員の先生にはその場で電話やメール等で即時報告し、リアルタイムで指導の動きを伝えておくこと。詮じつめれば相談員の先生も常に指導情況をリアルタイムで把握できているようにすることだ。
2 指導日、時間の厳守を
派遣業は時間厳守が命である。伺う時間を守るために何を心がけるべきか。それには「時間通りに」到着しようとするのではない。「時間通りに」行こうとすると往々にしてぎりぎりになったり、遅れたりすることがある。これは言い訳にならない。ではどうすべきか。常に2、30分前に現地に到着し、カフェで待機するなど余裕をもって動くことである。このための些少な時間とお金を惜しまない精神的ゆとりがあってほしいものだ。
B 指導の要点
1 結果を出すこと
9月、10月は1学期や夏休みの学習成果がそのまま反映してくる時期である。夏休み明けの実力テストや中間試験では必ず数字で結果をださねばならない。家庭もこの時期に「投資効果」を着目する時期である。ここで成果が上がらないと何のための家庭教師かということになる。
2 指導の重点は何か
とりわけ不得意科目の克服である。1つでも苦手意識のある科目を克服することは結果を出すべきこの時点でもっとも大事なことである。9〜12月は学校では一足飛びに授業が進む。苦手意識のまま進むと一層混乱する恐れがある。それゆえ今この時点で不得意科目を克服する必要がある。
英語では特にリスニングの克服が求められる。リスニングは受験生に限らずほとんどの学生にとって苦手分野であることは間違いない。それは学校でリスニングができるようになる「授業」を行ってないからであり、(週一回テープやCDを単に聞かせるのは対策といえるものではない)、また学校の先生からしてリスニングを得意としているケースは少ないのではないか。
どうしたら聴けるようになるのかに焦点をおいた指導が求められる。大学受験生の場合、センター試験を始めリスニングが課される大学があるので早めに対策を立て実行するに越したことはない。既存の教材だけに頼らず、生徒のやる気や自信を引き出すように教材を工夫し、また指導法を考案することが重要である。まずは生徒の苦手意識を取り除くことだ。平易な英文をゆっくり読み上げて理解してもらったり、一緒に英文を音読したりして耳慣れすることから一歩を踏みだしていただきたい。さらに重要なことは、家庭教師自身が日々CDなど聴き込んで自らのリスニング能力を高め、また豊富な教材に通暁して指導方法の幅を広げていくことである。
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