地震直後にあるメーリングリストで、ある臨床心理士からメンタルケアについてのアドバイスのメールが出回った。非常時にどんなことを心がけるべきかが、わかりやすく述べられていたので、その内容の一部を紹介しつつ、私自身の周りで実際に見られた現象等も参考に述べた。
?@ まず自分自身のメンタルケアを。
「地震直後は誰もがアドレナリンが噴出しています。こういう時は何かをしたくてたまらなくなりますが、まずはその自分自身の感覚に意識を向けてみましょう」とあった。
「今自分はどういう状態か」「今この瞬間、自分は何を感じているか」をこまやかに意識してみること。これを[トラッキング]という。意識をすることによって、不安を感じ動揺している自分に気づき、落ち着きを取り戻すきっかけを掴むことができる。
「私たちが落ち着いているか、不安エネルギーをまき散らしているかによって、様々なことが違ってきます」とは、非常時でなくとも普段から心がけておきたいことである。
?A テレビを消しなさい。
震災の映像を見続けることによって、身体的にも心理的にも様々なネガティブな影響を受けた人は私の身近にも多かった。特に子供は感受性が強いので、それらの映像がトラウマとなって、夜泣きをしたり、下痢や嘔吐といった身体症状を訴えたりするケースも多かったようである。
「身体がだるくなったり、ボーッとしたり、涙が出てきたり、妙な罪悪感が湧いてきたり、不安状態にある自分に気づいたら、即刻テレビを消すか、必要なニュース速報のみが流れてくる全く違う番組にしてください」とあった。
?B 人とのコミュニケーションを大切に。
非常時、大きなストレスがかかるとき、人はとても自然に人を求め、触れ合うことで癒しあおうとする。
「その時の自分の思いを言葉にして、所属するコミュニティでシェアし、身近な人に伝えてみてください」とあったが、実際、震災後には、友人や仲間、家族や親戚たちと頻繁にメールのやりとりをして、互いの存在やぬくもりを感じあうことを、多くの人が自然に行っていたようである。
私たちは教師という立場上、とかく人のケアに回りがちである。しかし、飛行機に乗ったときに離陸前になされる安全指導と同じで、「まずお母さんが酸素マスクをして、それから子供にマスクをつけてやる。」
まず自分の心の平安を確保しよう。自分が元気でいてこそ人を支えることができる。自分は大丈夫だからといって人のことばかり気遣うのは、美しいことではあるが、長続きしないし、どこかに無理があるから、人が安心してくつろぐことができない。自分の「行動」よりも「あり方」が人に大きな影響を与えるということを肝に銘じるべきである。 |