合格が続々と舞い込むシーズン。栄冠を勝ち取らせた側にとっては、まさに家庭教師冥
利に尽きることと思う。生徒本人はもちろん、ご両親の喜びも一入だろう。
しかし、本命成就ならなかった場合、本人の能力はさることながら、こちらに深い落ち度があったのかと、つくづく反省させられるものだ。
特に気になるのは、学校選びの点について、適切なアドバイスができていたかという点である。
偏差値に見合った学校がうまく選べていたかどうか。親御さんが子供の偏差値とかけ離れたところだけを望まれていたにもかかわらず、遠慮が勝ち過ぎて次善の策を講じる働きかけがなされなければ、そこでall or nothing的な結果になっても致し方ないだろう。
本命校は、目標に向けて意欲を高めるためにも初志貫徹したいが、理想の1校しか受けないとかいうことは、よほどのこだわりと覚悟がある場合以外は、危険な選択である。
中学受験以上ともなると、記憶の痕跡に残らない幼児の場合と違って、子供の心に傷を残すものであるから、努力を怠っていた非受験組と同じ学校へ行くのは、やはりつらいことに違いない。したがって、防御策を講じ、ひとつでも合格を取らせるアドバイスをすることは、信頼と努力に報いるためにも絶対に必要なことであろう。
次に受験学習のことだが、我々家庭教師は塾と違い、マンツ―マン指導を担う立場にある。そこで、そのメリットを最大限に活用されたい。
例えば、四谷大塚の予習シリーズなどでは、月間・年間学習予定表に基づきカリキュラムが組まれるが、塾では練習問題までは触れられないか、未消化のままの生徒が多い。
そこを家庭教師の方できちんと押さえることで、得点力は倍加する。
指導時間に制約があり、全部はこなしきれない場合でも、先生の方でポイントはその時間内に、きっちりとやってあげなくてはいけない。
応用的な問題の部分も、まずは生徒にやってもらい、その後、間違いや分からなかったところを指導すべきで、初めから答えを与えるべきではない。
近頃はすぐにお喋りに走り、脱線しがちな子供も多いが、黙ってじっと考えさせる習慣を育てることが必要だ。集中力が身につけば、成績も自然と伸びてくるはずのものだから。
最後に、勉強というのは結果も大事だが、結果だけがすべてではなく、あくまでプロセスである。
どんな環境であれ、進学先の学校で子供が楽しく居場所を見つけられ、目標や夢に向かってさらなる努力ができるように、動機付けや励みをもたせることが何より肝要であろう。 |