[1] 楽しく学習することを第一の目的とし、遊びが本業である幼児期における
学習であることを常に頭においておくこと。 |
楽しく学習して身につけていないことは、本当にその子の知識になっていないことが多くある。本当に理解してはおらず、ロボットのようにうわべだけただ覚えているだけなのである。また、多くのことを学習させようとするあまり、過度な負担をかけたり激励したりしすぎると、「お勉強はつらい、おもしろくない」という気持ちが幼児の中に植えつけられる。そうなると、将来にわたりその子はずっとその気持ちを引きずることになる。 |
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[2] 発達段階を考慮し、分かりやすい言葉で言い換えることをためらわないこと。
また、段階的な指導においても、より相互応答的に、細やかな段階設定が必要である。 |
幼児は大人が思う以上に、まだ色々なことを理解する能力が発達していない。ものの理解の仕方も、大人と全く違ったやり方で理解していることも多くある。そのような幼児に指導する場合、こちらも幼児の理解に近づくやり方をしていく必要がある。とくに言葉は始めはわかりやすく言い換えること。また、数の分解や合成なども、具体的なもの(食べ物など)で指導すると理解しやすい。 |
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[3] ほめることと評価することを混同しないこと。これは大変難しく、ほとんどの
教育熱心な母親はこのことを混同しているし、我々講師も陥りがちであるので
気をつけること。 |
ほめることは、ともすれば上から子どもを評価することによって子どもに多大なプレッシャーを与えてしまい、いつも親の顔色をうかがう子どもになってしまったり、自分への肯定感が大変低い子どもになってしまったりすることがある。とはいえ、ほめるな、ということではない。ほめる時にはなるべく、上から良い、悪いといったようなほめ方ではなく、同じ目線で出来たことを共感するようなほめ方をすることが重要である。 |
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[4] 母親の期待とのバランスをうまくとること。母親の思いを理解し、しかも
発達的な視点を忘れないこと。 |
母親は、わが子に大きな期待を持ち、さらに上へ上へと思っているが、この時期の子どもには発達的にまだ出来ないことが多くある。それは努力して獲得できるものではなく、ある発達段階に達したら自然に身に付くものである。母親の思いはきちんと受けとめ、しかし母親と同じように幼児に接するのではなく、できることとできないことをきちんと見極め、できることを伸ばしてあげるように指導していくことが大切である。できないことは講師の方で把握しておき、時期をずらして時々提示してみる。そうすると、ある日いつのまにか理解できるようになっているものである。 |