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国語力は全ての学習の土台 国語が苦手な子が、他の主要教科(英,数・算,理,社)でも躓(つまず)いて伸び悩んでいるというケースは、意外と多い。一方、国語の能力の高い子は、不得意だという他教科も比較的伸ばしやすい。 母国語としての国語の基礎力が、学習全般の発展を促すのだといえよう。 何故、国語が苦手なのか(苦手になったのか)? 国語に限らず、苦手なものは上手くできないし理解も進まない。それで自信を失い、嫌気がさして「嫌い」になったりもする。また、さして苦手意識がなかった場合でも、何かが契機となって嫌いになってしまうこともある。 いずれにしても必ず原因があるのだから、それを解明することが、国語克服の第一歩となる。何が不得意なのか、何故嫌い(になった)か、カウンセラーとして生徒と共に考えるプロセスが、自信も意欲も喪失してしまった萎(な)えた心を開く最良の近道であろう。 眠れる長所を発見せよ! 最初の授業の目的は、現状(何ができて何ができないのか)を明らかにして、その中から個々の生徒の持っている潜在能力を発見し、学習の糸口を見定めることにある。 まず、適当な文章を選んで音読させ、内容についての簡単な質問に口頭で二問ほど答えてもらう。次に、その回答をノートに書くように伝える。漢字と語句についても数問出題する。取り組みやすいようにクイズ形式にするなど工夫する。 国語が苦手でも、「読むのは好き」という子もいる。声がよく通る子、発音が明瞭な子もいる。口頭での質問ならわかるが、書かれた設問は苦手という子もいる。また、文字の上手な子、丁寧に書く子、「漢字なら好き」という子もいる。さらに、話していて豊かな感性を放つ子もあれば、直観力の鋭い子もいる。一つ一つ理詰めでいかないと先へ進めない子もいる。日記を書いている子もいれば、おしゃべり(スピーチ)好きな子もいる。誰でも何らかの特性を持っているものだ。その特性の中に、学習の原動力となる長所を発見するのがプロの役割だ。プロ家庭教師の個人指導の真髄もここにある。 さて、長所を発見したら、ちゃんと褒めることが大切だ。正当な評価は「やる気」を育てるからだ。外からの評価の影響力は大きい。小さな希望の光が見え始めたこの時、師弟心を一にして、学習目標を設定したい。 目標と短期・長期計画の設定 長所を生かせる分野は、基本から徹底指導することを心掛けたい。自信回復の糸口となる可能性が高いだけに、例えば学校の教室で認められるくらいの力を身につけさせたい。 また、特に自信のない分野は学年を下げて易しいことから始め、一歩一歩の達成感を積み重ねていくのがよい。受験学年でない場合は、漢字検定に臨んだり、ドリルやテキストのこことここは80 点以上を目指すといった目標を設定するのもよいだろう。目標を達成するために、週毎、月毎の短期計画及び年間計画を立て、さらに月毎の重点課題を明確にすると効果が上がる。 立てた目標や計画は遂行するのが原則、そのためにはご家庭(ご両親)と生徒自身の理解が何より不可欠なことも忘れてはならない。 国語の基礎力とは何か? 読解でも表現でも、理解力のメルクマールとなるのは<主語・述語>の関係を正しく捉えているかどうかである。<何が・どうする><何が・どんなだ><何が・何だ>の関係を読み取り(聴き取り)、その意味を理解する能力が国語の基礎力である。 長い複雑な構造の文でも、主語と述語を抜き出すことで、ぐんと理解が高まる。記述問題が苦手という子は、本文よりむしろ設問の文意を理解できていない場合が多い。問われている事柄がわからなければ答えようがないのだ。算数の文章題でも同様のことがいえる。 文章を読む時、書く時、聴く時、話すとき、いかなる場合も<主語・述語>が基本である。理解が深まれば、主語や述語の省略も見抜けるようになるし、他の要素(目的語・補語など)の働きもわかってくる。文法力はこうして身につく。文法とは本来、文や文章に触れて理解するものであり、断片的に詰め込んで覚えるものではないのである。 感性の開発のために 1 繰り返し読ませる 主語・述語の読み取りに慣れたら、一つの文章を時間の許す限り、繰り返し読ませたい。文章の選定と「もっとわかりたい」という気持ちにさせるのがコツ。繰り返し読んでこそ、文章を味わうことや行間を読むことが可能となることを実感してもらえたら、大成功だ。(ここまで到達したら、もう国語は得意科目だ!) 2 韻文作品に触れさせる 恋愛や人間愛、人生や生命を主題としてダイレクトに語りかけてくる作品に触れさせるなら、韻文作品が効果的だ。日頃から授業用にリストアップしておくとよい。 3 読み聴かせ 学年を問わず、朗読を聴くのは嫌いではないようだ。途中から読書に移行するのもよい。年齢や興味等にあわせた作品選びが鍵となる。 |