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ご家庭の様々な要望のうち、指導教科は教師選定の最優先事項である。週1回指導の場合、一人の先生に複数教科をみてもらいたいという要請がある一方、大学受験などのスペシャリティが要求される分野では、単科指導にならざるをえないケ−スも出てくるが、後者では非常にハイレベルな目標をおく場合が多い。 そこで家庭教師のありかたとして、一つには自分の専門教科を究め、その道の第一人者として、どんなハイレベルの要請にも応え得るだけのスペシャリティのスキルを常に磨いておくこと。また一方で、できるだけ幅広く全教科型に対応できるだけの度量と柔軟性を持つことが大事であり、両者を可能な限り並存させて視野におきながら、自己研鑽に励むのが理想である。 専門外の仕事は最初は誰でも躊躇されるし、まして受験指導は人生一回性の真剣勝負なので、自信のない者が安易に目の前の生徒を経験を広げるための試験台として考えることは許されない。あくまで己の能力や要請のレベルを見極め、できないことは安請け合いしないのが鉄則だが、生徒の側の必要性があり、勉強次第で充分やれる仕事であるなら、臆せずに是非積極的にトライしてみてほしい。 長期継続の低い学年からとか、既に信頼が通って強い要請を受けたなどの条件が揃った場合には、新しいことを勉強していくための取っかかりのチャンスであると考えられたい。家庭教師は常に不断の研鑚を必要とする仕事であり、生徒への愛情をもって全身全霊で打ち込めば、やっていくうちに自ずとそれが教えるのが楽しく、自信の持てる教科につながるのである。 いい下準備があってこそいい授業が生まれる。慣れた分野の指導は安心感があり、気持ちの上で楽だが、生徒の刻々変わる反応をフレッシュに受け止めるためにも、マンネリや既視感と常に闘いつつ、ライブな授業における感動や興奮を生徒と共有できるように、自らも楽しんでポジティブな姿勢で指導に臨むことが大切だ。 次に対象学年や、発達度に応じた指導上の心得を挙げておきたい。 中学入試のためのハ−ドルは年々熾烈になっており、一番長期にわたる準備と相当量の範囲の勉強が必要とされるのが、中学受験なのである。2科から4教科型に移行の情勢から、いかに限られた指導時間内でバランス良い得点力を伸ばすかが鍵となる。どうしても算数に時間的比重がとられがちだが、難関レベルでは国(社)の記述力が決め手になるので、国語力はおろそかにはできない。ハ−ドな塾通いで大半の子は疲れきっているが、効率のよいフォロ−と、過去問移行後の個別対策期には全面的バックアップを果たすことで、心身共に安心して親と子が受験を乗り切るための、支えとなってあげられたい。 高校受験は、全家庭教師が取り組みやすい分野である。一番教えやすく、また合格もさせやすい。国語はボキャブラリ−性に偏った選択式の問題中心なので、合格答案を効率的に作るコツさえ教えれば事足り、その分英数に時間をかければ短期速成可能である。生徒の本音は、受験をできるだけ早く切り上げたいのが普通だが、ご家庭の要望と本人の意思をよく聞き話し合った上で、理社科を残すか捨てるかの見極めが直前指導のポイントとなる。 大学受験では、生徒の目的意識や将来の進路が、志望大学・学部に密接に関わってくる。大学のランクや偏差値だけで選ぶのでなく、夢を叶えるために全力で向かっていくことが、入学後の学生生活を有意義に送ることにもつながってくる。「憧れ」校は初志貫徹するように励まし、ハイレベルの目標や要請に対し必要なことを十全に対策して、そこまで引き上げることのできる専門的指導力が、プロの家庭教師の腕の見せ所である。当学院の誇る最高の先生同士が一人の生徒を伸ばすため、それぞれの持ち場で協力し合い、分業がいい形で回っていけば、最も指導の効力は発揮できる。 以上から、基礎固めの早期の段階では、オ−ルマイティ型の家庭教師による指導で、選択肢の可能性を広げてゆける余地を残しておき、いざ目標が明確に絞られて、大学受験のハ−ドな関門に挑もうという時には、その分野のスペシャリストのプロ家庭教師陣に、勉強の奥深さを楽しく教えてもらう、というのがベストな方策であると思われる。 |