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費用が高くて力のない家庭教師は家庭に疎まれるが、力のある家庭教師なら好結果を出せ、感謝されて、その後も生徒・家族とは良好な付き合いが続く。私は毎春の空いた時間に、東大受験生や早慶を目指す受験生の指導のシミュレーションをする。過去問を分析すべく、参考書もたくさん買う。書店で車が買えるくらいの参考書を買ったこともあるが、参考書をまねたのでは、ただの物まねなので、自分のオリジナルな指導を考える。指導研究にはかなりの資本をかけ、高付加価値で売れるものを身につけている。家庭教師の費用を安いと思わせるだけの高付加価値を自分につけることである。 家庭教師の能力には、カウンセリング的要素も必要である。特に思春期の多感な子供は、親に心を開かない。親も子供の間に信頼できる先生をワンクッション置きたがる。生徒の学力の上がり下がりにも心理面がデリケートにかかわるので、家庭教師は心理学やカウンセリングの勉強はしておいたほうが良い。 私は生徒の学力を上げるために生徒の言語能力に注目する。参考書や問題集を理解するのは言語能力である。学力のない子は言語能力が弱い。また生徒の心を開かせるために、私は休憩時間に生徒に趣味や好きなスポーツ・音楽の話を聞く。交流しょうという気持ちを相手に伝えることで生徒は自分という存在に関心を示してくれた家庭教師に心を少しずつ向け始める。そして勉強をがんばってみようという気に変わっていく。家庭教師の授業は、ストーリーテラーでなくてはならないと思う。毎回同じではなく、1回1回の授業で何かしらの新鮮さを持たせることが必要だ。モニターレポートには、生徒の伸びた点、伸びそうな点、さらに良い点を書く。やればできる生徒であることを両親に気付かせるのである。子供は何かしらの天才性を誰でも持っている。親に新しい発見をさせるのである。 21世紀は、個の時代である。自分が売れるもの、オリジナリティーを追求してほしい。受験もオリジナリティーを要求するスタイルに代わりつつある。そのなかで家庭が求める教育はクリエイティブ性である。受験テクニックだけではなく、考える力、理解する力、想像する力など、思考を進化させる力を生徒に身につけさせること。そして強い精神力(積極的・ねばる・勝ち取る)を持たせることが今後は必要だ。21世紀を見据えた、新しい家庭教師になってほしい。 |