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開成高校卒。慶応義塾大学卒。大学時代から塾講師や家庭教師を始め、今日まで20年以上にわたる家庭教師指導経験をもつ。小学生から中学生、高校生、大学生の幅広い生徒を対象に指導を行う。
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自分自身では何気ないと思っていることでも、家庭や生徒からの信頼を損なって大きな失敗につながることがある。生徒や両親の信頼は、家庭教師の言動で大きく変わる。家庭教師は、ただ成績を上げればよいというものではない。四方八方に目を配って信頼を積み重ねていかなければならない。信頼を得てこそ、生徒の成績の向上、目標の達成があると言ってもよい。だから指導法以前に、一人の人間として、生徒を導く教師として、また謝礼を得て教授する者として、家庭教師は身につけておかなくてはならないことがある。しかも、家庭教師はマンツーマン指導を、家庭というプライベートな場所で行う職業であることも,その必要性を大きくしている。社会生活のなかではあたりまえのことばかりかもしれない。しかし、案外見落としがちである。体験からいくつか紹介する。
生徒の成績も上がり、母親にも気に入られていたが、急に母親がよそよそしくなったことがある。風邪気味でティッシュを使っていた。これが街で配られている金融業者のもので、母親に袋を見られたのだ。風邪だから何気なく街でティッシュを受け取り、普段どおりに使っていたのだが、家庭教師として生き続けるためには、こういう何気ない失敗を繰り返さないことだ。
また、私はタバコを吸わないが、たまたま指導の前にタバコを吸う人の側に長時間いたために匂いが付き、生徒が嫌がったことがあった。こういう場合、生徒はがまんして直接家庭教師に言わない場合が多く、家庭教師は気がつかない。生徒の態度がいつもと違う時には、両親に報告をして聞き出してもらって至急に改善すべきである。
生徒に問題を解かしている間に携帯でメールを送るなど、指導中にほかの作業をすることは厳禁である。生徒は、家庭教師に見ていてほしいのである。注目されている中で一生懸命にがんばるのである。家庭教師のことが好きだったり尊敬していたりすればするほど、その気持ちは強い。携帯は指導中には使わない。料金をいただいて指導をしている以上、映画館や電車の中でのマナーとは違う。指導することに集中するために電源は切っておくべきである。
指導日時の変更も、信頼を損なうので注意すべきことである。ただ家庭から変更や追加を求められることがあるので、一月単位で事前に指導日の確認を習慣づけると家庭も安心できる。これはやむにやまれず家庭教師側から変更する場合の事前連絡となり、家庭・生徒も心の準備が出来る。また、あわせて指導日ごとに次回の指導日の日時を確認することも習慣づける。
服装など身の回りも大切である。派手・高価なものは避け、清潔感のあるものを心がける。靴は、玄関に置いて目にさらされるものであることを考慮して選ぶ。いいものでも、古いものは避ける。傘は、いつ雨が降っても良いように折り畳みを用意しておきたい。家庭に安易に借りがちだが、これはだらしない印象を与える。借りたら必ず乾燥させて返すことだ。
家庭教師として20年以上になかで、失敗から学んだことは多い。それらの失敗を踏まえて、指導法の工夫とともに、常に自分自身の言動をいつもチェックするようにしたい。 |