( a 3 + 2 a 2 b - a b 2 + b 3 ) ( 4 a 2 - a b + b 2 )
の前半のカッコのどの項と後半のカッコのどの項を掛け合わせると
a 3 b 2
の同類項になるのか組み合わせを考えます。
a 3 × b 2 、 2 a 2 b ×(- a b)、- a b 2×4 a 2
の3つとわかるので、 1 - 2 - 4 = - 5, よって係数は - 5 ですね。
式をすべて展開しなくてもこうして組み合わせを考えれば特定の項の係数が求められます。この考え方が二項定理の展開式につながります。
では、( a + b ) 4 の展開式について考えてみましょう。
( a + b ) 4 = ( a + b ) ( a + b ) ( a + b ) ( a + b )
の展開と考えると、4つのすべてのカッコ内の a, bどちらかの文字を掛け合わせたものの和なので、展開式のすべての項は a , b についての4次式となっています。
( a + b ) 4 = ( a + b ) ( a + b ) ( a + b ) ( a + b )
として考えると、
まず 展開した式の a 4 の係数は、a × a × a × a なので、1とわかりますね。
では a 3 b の係数はどうなるでしょうか。4つのカッコの3つからa 、残りの1つからb を選んでかけたものになるので、
a × a × a × b 、 a × a × b × a 、 a × b × a × a 、
b × a × a × a
の4つから、 a 3 b の係数は 4
同様にしてa 2 b 2 の係数は
a × a × b × b、 a × b × a ×b 、
a × b × b × a 、
b × a × a × b 、 b × a × b × a 、
b × b × a × a
の6つから、 a 2 b 2 の係数は 6
もう分かりましたね。
a 3 b の係数は4つのカッコの中から1つ b を選ぶ組み合わせとなるので、
4 C 1
a 2 b 2 の係数は4つのカッコの中から2つ b を選ぶ組み合わせとなるので、
4 C 2
となり、
( a + b ) 4 = 4 C 0 a 4 + 4 C 1 a 3 b + 4 C 2 a 2 b 2 + 4 C 3 a b 3 + 4 C 4 b 4
と書け、さらにn乗の展開式にすれば、二項定理となるのです。
特定の項は一般項 n C r a n- r b r を使って求められます。
ではさらに応用してみましょう。次の問題を考えてみましょう。
[問題]
( x + 1 ) ( x + 2 ) ( x + 3 ) ( x + 4 ) ・・・・ ( x + n )
の展開式の、x n - 2 の係数を求めなさい。
[解答、解説]
今までと同じように考えると、n 個のカッコの中から x を( n - 2 ) 個 と、定数項、つまり1から n までの数から2個を選んで掛けたものが x n - 2 の同類項になるのでそれらをすべて加えたもの、すなわち 1 から n までの数から異なる2つの数の積の和が x n - 2 の係数となります。
ここで、また別の面から乗法公式を考えてみましょう。
( a + b )2 = a 2 + 2 a b + b 2
( a + b + c ) 2 = a 2 + b 2 + c 2+ 2 ( a b + b c + c a )
( a + b + c + d ) 2 = a 2 + b 2 + c 2+ d 2+ 2 ( a b + a c + a d + b c + b d + c d )
….
となっていることに目をつけます。
1からn までの数から選んだ異なる2つの数の積の和は、
{ ( 1 + 2 + 3 + ‥‥ + n ) 2 - ( 1 2 + 2 2 + 3 2 ‥‥ + n 2 ) } ÷ 2
で求められます。
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