<解説>
はじめに、必要条件十分条件について解説します。
数学の用語は、普段私達が使っている言葉とは少し違う(より厳密な)ことがありますので、勝手に解釈しないで、正確な意味を覚えましょう。
「ある条件pが成り立つとき条件qが成り立つ」ことを「pならばqである」といいます。
条件とはなにか。「〜は〜である」という文(または式)を数学では条件と呼ぶ、と思ってください。もう少し詳しく言うと、その文だけでは真偽がわからないものが条件です。例えば、「x>5」はxの値がわからなければ真偽が判定できないので条件です。
「pならばqである」ことを p⇒q と書きます。
「p⇒q」が成り立つとき、「pはqであるための十分条件である」
または「qはpであるための必要条件である」といいます。
例をあげましょう。
「x>8 ⇒ x>5」は成り立っているでしょうか。
x>8を満たす全てのxに対してx>5は正しいといえます。よって
「x>8はx>5であるための十分条件である」
といえます。同時に
「x>5はx>8であるための必要条件である」
ともいえます。
では「x>5 ⇒ x>8」は成り立っているでしょうか。
x>5を満たしていても、たとえばx=6だったらx>8は正しいとはいえません。よって、x>5はx>8であるための十分条件ではありません。
「p⇒q」と「q⇒p」がともに成り立つとき、「pはqであるための必要十分条件である」または「qはpであるための必要十分条件である」といいます。
まとめると次のようになります。
p⇒q
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q⇒p
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pはqであるための
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○
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×
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十分条件であるが必要条件ではない
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×
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○
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必要条件であるが十分条件ではない
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○
|
○
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必要十分条件である
|
×
|
×
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十分条件でも必要条件でもない
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この表さえ覚えれば、バッチリですよ。
<解答>
では、問題の解答です。
(1)
△ABCが二等辺三角形であるならば、3辺のうち2辺は必ず等しいわけですが、
それがどの辺とどの辺かはそれだけではわかりません。
AB=BCかもしれないし、BC=ACかもしれません。よって、
AB=ACであるとは限らないので、p⇒qとはいえません。
逆はどうでしょう。AB=ACならば、△ABCは二等辺三角形であるので、
q⇒pは成り立ちます。
よって、正解は(イ)です。
(2)
△ABCが正三角形であるならば、3辺が等しいのですから、当然
AB=ACは成り立ちます。p⇒qが成り立ちます。
逆に、AB=ACならば、二等辺三角形であるとはいえますが、それだけでは、正三角形とはいえません。q⇒pとはいえません。
よって、正解は(ア)です。
(3)
△ABCが正三角形であるならば、AB=BC=CAですし、AB=BC=CAならば、
△ABCは正三角形です。
よって、p⇒qかつq⇒pなので、正解は(ウ)です。
(4)
△ABCが二等辺三角形であっても直角三角形であるとはいえませんし、直角三角形であっても二等辺三角形とはいえません。正解は(エ)です。
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